「警察から、弁護士ではなく告訴人である母に直接電話がかかってきて、“読んでないからなんの件かわからないけど、うちそういうのやってないから、送られてきても困るんだよね。だから送り返しておきますね”──と。そして4日後に本当に返送してきました」
この件を、春名さんはSNSに投稿。ニュースになった。
「中身も読まずに告訴人に直接電話をしてくるなんて、“告訴をあきらめろ”という、明らかな脅しだと思いました。母も恐怖と怒りで震えており、そんな電話をとらせてしまい、申し訳ない気持ちになりました。ぼくはすぐにSNSにこの件を投稿しましたが、世の中には、加害者だけでなく、警察の対応によっても泣き寝入りしている被害者が大勢いると実感しました」
春名さんが世間に事実を訴えたこともあり、9日後には告訴状が受理され、刑事事件として捜査が開始された。
◆泣き寝入りしないで! ぼくがその見本になる
春名さんは、いまは誰もがネットで中傷される時代と語り、傷つけられても「あきらめないで」とエールを送る。
「ネットで中傷してくる人は、何度もそういった投稿をしています。数人の誹謗中傷犯を特定したら、同じ人だったということがよくあるんです。ですから、もしすぐに訴えられなくても、再度タイミングが来るかもしれません。あきらめるより、対抗心を燃やした方が、いい方向に道が開けると思うんです」
いま、ネット上に匿名性はない。必ず、投稿者は特定できる。少女時代から続いた長い冬が間もなく明ける。
【春名風花 名誉毀損事件とは?】
2010年にツイッターを開始すると誹謗中傷が相次ぎ、2016年には殺害・爆破予告もされる。2018年10月15日に田中一哉弁護士に投稿者の特定を依頼。春名さんの母親が告訴人になり、11月21日、ツイッター社に発信者情報開示請求の仮処分を申し立てる。それを受け12月28日に開示された後、2019年5月からプロバイダーに対する発信者情報開示請求訴訟を開始。11月1日、勝訴。東京地裁は名誉の侵害を認め、損害賠償請求のために投稿者情報開示を求める理由があると判断した。2020年1月14日、春名さんの母親が投稿者に対し民事訴訟を起こし、同時に神奈川県警に告訴状も提出。2月7日に受理。現在捜査中。
※女性セブン2020年4月9日号