ライフ

仏教は「清らか」だけではない 仏典に残る生々しい記述

ブッダの教えを記した仏典を紐解くと…(ゲッティイメージズ)

 コンビニより多い寺院数に、御朱印集めブーム……。現代の日本で仏教はかくも親しみやすく、身近な「宗教」となっている。しかし、作家で仏教研究家の平野純氏によると、仏典に書かれた開祖ブッダの教えは「コワさ」に溢れているという。日本人が知らない、仏教の真の姿とは──。

 * * *
 仏教はいうまでもなく宗教です。では、仏教という宗教、その教えは皆さんの間でどんなイメージがもたれているでしょうか?

 大昔のインドでブッダ(釈迦)がたちあげた宗教。悟りをめざす清らかな教え──。こんなところでしょうか?

 そのような仏教に関する見方それ自体はまちがっておりません。ただ、仏教の聖典をひもとくと、つぎのような文章にでくわしてぎょっとすることがあります。

〈人間のみならず、動物と性交をおこなった修行者は教団から追放される〉

 これは『律蔵』という仏典の冒頭に登場する条文です。「律」という、仏教の教団で暮らす修行者の生活規則をのせるもので、ブッダ自身が決めた規則をもとに、かれの死後数百年ほどの間にまとめられました。

 ブッダの死のあと、教団はその考えの解釈をめぐっていくつかの部派に分裂しました。「律」は各部派がそれぞれの立場から発展させたことから細かな違いが生まれましたが、基本的な部分は共通です。

『律蔵』は5世紀以降、中国でも訳されました。このうち最もポピュラーになったのが『四分律』という、有力な部派が作成した全60巻からなる「律」で、奈良時代に鑑真(688~763)が来日して本格的に紹介したのをきっかけに、日本の僧侶も運用の実際について知ることになりました。

「律」は日本では一般に「戒律」という言葉に直されて使われています。「律」は規則を破った修行者に対する罰則を記す、非常にナマナマしい内容をもつものです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の判決は執行猶予付きに(画像はイメージ、Getty)
「何もついてない、まっさらな状態で抱きしめたかった」呼吸器に繋がれた医療的ケア児の娘(7)を殺害した母(45)が語った「犯行時の心情」【執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト