主演ドラマも放送中の竹下景子
本来、女優は作品ごとに異なる人格を演じる。そこに醍醐味を感じ、職業として選択した竹下は、やや不満も感じていたという。
「ある一面だけで、あたかもその人全部を表わしているかのような言い方をされる窮屈さもありました。人って、誰でも多面体ですからね。でも、すごく良いフレーズなのに、あまりに不遜ですよね」
29歳の時、転機が訪れる。単発ドラマ『十二年間の嘘 乳と蜜の流れる地よ』(TBS系)で風俗嬢役に挑戦。この作品が高視聴率を叩き出し、以降「モモ子シリーズ」として15年で8本放送され、代表作の一つとなった。
「お話をいただいた時に『イメージチェンジできる!』と嬉しくて嬉しくて。事務所が心配しなかったといえばウソになるでしょうね。でも、デビュー間もない頃から起用してくださった市川森一さんの脚本で、信頼関係もありましたし、覚悟を決めて挑みました」
並行しながら『男はつらいよ』のマドンナ役を務めるなど清楚なイメージも保ったまま、1984年に自らのプロポーズで15歳年上の写真家・関口照生と入籍。