コロナウイルスによる未曾有の事態に、経済界で実績を残した世界の賢人は、独自の分析と提言をしている。WHO(世界保健機関)がパンデミックを表明した1か月後の4月12日、アメリカでの新型コロナウイルスによる死者数が2万人を超え、国別で世界最多となった。
トランプ大統領は早期の都市封鎖解除を訴えるが、米国立アレルギー感染症研究所・アンソニー・ファウチ所長は、4月の後半に感染ピークの可能性を示しながらも、「規制を部分的に解除しながら徐々に前進すべきであり、ソーシャルディスタンシングの措置も継続すべき(4月7日付ウォールストリート・ジャーナル紙)」と、トランプ氏の性急な発言に警鐘を鳴らす。
一方、5年前に「人類の脅威は核爆弾よりウイルス」とパンデミックを予想していたビル・ゲイツ氏は、1年半後に完成予定のワクチン開発に数十億ドルを投資し、「全米規模の封鎖、徹底的な検査、データに基づく治療法とワクチンの開発」を提言(3月31日付ワシントンポスト紙)、パンデミック終息後についてこう語っている。
「経済は命さえあれば取り戻せる。病気や死という痛みを最小限に抑えるために、私たちは今こそ経済の痛みを受け入れるべきだ。ワクチン完成までは人々の生活を元に戻すべきではないことは明らかだ」(3月25日放送CNBC)
私たちは、ビル・ゲイツ氏の提言をどう受け止めるべきか──。
※週刊ポスト2020年5月1日号