国内

客引きを使って闇営業する居酒屋「プチぼったくり」の構図

低価格で明るい時間帯から飲食できる「昼飲み」などで有名な赤羽の飲み屋街緊急事態宣言発令に伴い閑散(時事通信フォト)

飲み屋街も緊急事態宣言発令に伴い閑散としている(写真は本文とは関係ありません=時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大リスクが高いと言われる密閉空間、密集場所、密接場面、いわゆる「3密」を避けるために、夜の飲食店やナイトクラブ、パブの営業を控えるように各自治体が求めるようになって、1ヶ月以上が経った。ほとんどの店が夜の営業をとりやめるなか、看板も出さず照明も落として自粛のふりをし、キャッチに客を誘導させて相場より高額な請求をして闇営業を続ける確信犯の店がある。ライターの森鷹久氏が、確信犯的に闇営業をする居酒屋についてレポートする。

 * * *
 政府は5月4日、当初6日までとしていた「緊急事態宣言」を、5月いっぱいまで延長すると発表した。営業自粛を続けてきた自営業者などからは「すでに限界を超えている」という声が聞こえる一方、段階的に自粛要請を減らしていくなどと「基本対処方針」に示されており、残り一ヶ月をなんとか乗り切ろうといった前向きな声も聞こえ始めた。

 4月、筆者は自治体による自粛営業が続く中で「闇営業」せざるを得ない事業者の声を紹介した。あれから半月経ったが、実はほとんどの店がGW中は休んだり、営業していても少なくとも夜7時には店を閉めるなどしている。休業補償についてある程度目処が立ったり、金融機関からのつなぎ融資が決定したりといった理由があるようだが、それでもまだ、闇営業を続けている店は存在する。

 5月上旬、連休中にもかかわらず人通りもまばらな千葉県某市の繁華街に、いわゆる「キャッチ」と呼ばれる違法な客引きの姿があった。管轄の警察関係者が言う。

「休みに入り、ほとんどの店は営業を自粛したり、かなり時間を限定した営業を行なっていますが、中には昼間から深夜までフルオープンしている店がある。キャッチはそうした店に雇われていたり、店と契約している人間です。ほとんどの店は“ぼったくり店”と見られており、普段から目をつけられているような連中。どんなに注意しても営業もキャッチもやめることはない」(警察関係者)

 筆者がそばを通ると、キャッチが飛びつかんばかりの勢いでやってきて「1000円で2時間飲み放題」「うちは何時までも飲める」などといった誘い文句を矢つぎ早にまくし立ててきた。キャッチは「何人呼び込んでいくら」の完全歩合制であることが多く、客を一人も呼び込めなければ、報酬はゼロ。そもそも人が少ない中で、通る人全員に声をかけ食い下がっているのだ。

 キャッチが案内してきた店から出てきた、中年男性と若い派手な身なりの女性が、筆者の問いかけに応じる。

「ひどいぼったくりの店。ビールはほとんど炭酸水だし、刺身なんか数切れ皿にのったのが出てきて1500円。キャッチも一生懸命だったし、サービスもよかったけど。あれじゃ平時には誰も行かないね、今日は仕方なく行ったけど」(男性)

「今日は働いているお店(キャバクラ)の同伴出勤の前に、ご飯を食べていました。お店は自粛せず営業していますけど、コロナが怖いっていう女の子は休んでます。私は仕事がなくなったら明日食べるものもないから……。私も、この居酒屋も同じですよ」(若い女性)

 付近の商店街関係者によれば、こうした営業を続けている店は外看板も室内の電気までも消して、客は全てキャッチが連れてくるのだと言う。そして、ほとんどの店が質の劣る商品を通常より高いが、目玉が出るほど高額にはならない程度の割高で出す「プチぼったくり店」であることも明かした。

関連記事

トピックス

イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
デビュー25周年を迎えた後藤真希
デビュー25周年の後藤真希 「なんだか“作ったもの”に感じてしまった」とモー娘。時代の葛藤明かす きゃんちゅー、AKBとのコラボで感じた“意識の変化”も
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
ものづくりの現場がやっぱり好きだと菊川怜は言う
《15年ぶりに映画出演》菊川怜インタビュー 三児の子育てを中心とした生活の中、肉体的にハードでも「これまでのイメージを覆すような役にも挑戦していきたい」と意気込み
週刊ポスト
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン