◆「保護者から子供にうつる」が急増
感染者が突出して多い東京都を例にとると、3月下旬の段階で家庭内感染はレアケースとみられていた。ところが、5月2日には、新規感染者の160人のうち、感染経路が判明した90人弱の中で実に33人が家庭内感染だったことが明らかになった。東京都福祉保健局の担当者はその日の会見で「4月24日時点では、家庭内感染がおよそ14%だったが、5月2日には38%まで上がっている。家庭内感染が広がっている」と危惧した。
埼玉県でも、3月は36%だった勤務先や飲食店などでの感染が、4月は23%に低下。一方、3月は10%だった家庭内感染が、4月は21%に倍増した。
《子どもの感染急増 外出の親からか》。大型連休最終日の5月6日、読売新聞はそう報じた。10才未満の感染者が全国で200人を超え、その9割近くの感染が4月以降に判明。保護者からの「家庭内感染」が増えていると警鐘した。
WHOの調査報告書によると、新型コロナの感染は主に家族間で発生している。最もサンプル数が多い中国・広東省および四川省の調査では、78~85%のクラスターが家庭内だと報告される。ほぼ9割の感染源は家族だったのだ。
「日本でも市中感染が広がっていると想定されるなか、通勤や買い物などで外出した際に感染した人が自宅に戻り、家族と長く過ごす間に夫婦間などに家庭内感染が発生したと考えられます。
また、症状が出て検査を受けて陽性だったものの、軽症あるいは病床に空きがなく、自宅待機の間に家庭内感染するケースもある。自宅は決して安全な場所ではありません」(医療ジャーナリスト)
たしかに、中国で発生した未知のウイルスが、もともと自宅内にいるはずはない。だから、「外出先で気をつけるだけで大丈夫。家庭内にはいないから安心」と考える人は多いはずだ。実は、その油断が家庭内クラスターを招く。
※女性セブン2020年5月21・28日号