ライフ

鈴木おさむ 佐藤愛子&小島慶子「酢ダコ」論と妻との関係明かす

毎日妻に怒られているという鈴木おさむ氏

 佐藤愛子さんと小島慶子さんが夫婦関係や人生について手紙をやりとりした単行本『人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか』が刊行になった。『九十歳。何がめでたい』の発売から4年、変わらぬ怒り節を炸裂させる佐藤さんと、論客として知られる小島さん。世代も考え方も違う2人の“真剣勝負”は、こんな感じで展開される。

 *
佐藤愛子×小島慶子
「酢ダコ」をめぐる手紙のやりとり(本書より摘要)

佐藤愛子(96歳)
 世の中にはいろんな人がいます。…「蛸の酢のもの」を酸っぱいから嫌いだという人を、味のわからん奴、と怒ってもしょうがない。また、無理に嫌いでなくなろうと努力する必要もない。…今の時代は何かというと人の気持をわからなければいけないといい過ぎる…エイいちいちうるせえ、と私はいいたくなる。

VS

小島慶子(47歳)
佐藤さんは酢ダコに対する多様性に寛容でいらっしゃるのですが、私は「どんなに不味い酢ダコに当たっても、美味いと言わねばならない」と頑なに思い込んでいるようなのです。酢ダコ原理主義です。…酢ダコ嫌いであっても「酢ダコは美味い」と言うべく最大限の努力をするべきだと思っているんですね。

 *
 そんな往復書簡エッセイ『人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか』を放送作家・鈴木おさむ氏はどう読んだのか。鈴木氏による書評をお届けする。

 * * *
 まず最初に。小島慶子さんと僕は昭和47年生まれの同じ年なんです。だからでしょうか? 小島慶子さんの感じていることがとてもわかる。なんでしょう? 40代後半から50代って、そういう年代なんでしょうか? 色んな事に苛立って、気になって、「自分がすべて正義じゃない」ってわかるんだけど、若い人、年上の人、周りの人、苛立つことが多い。だから最近、自分も「もしかしたら俺は男性更年期なんじゃないか?」と思ったりします。

 そして、僕は結婚して18年。毎日、妻に怒られています。4月上旬に緊急事態宣言が出されてから、家にいることがかなり増えました。すると妻に怒られることも多くなりました。妻が僕に対して「足音が大きい」と注意する時が1年の中で何回かあります。わかるんです。それを言う時は僕に対して不満がたまっていて、生理的にも許せなくなっている時期なんです。まさに今がそれで、この本を妻が読んだら、妻は何百回もうなずくとは思うのですが、僕からしたら小島さんの旦那さんの気持ちもすごくわかったりして。

 でも、最高なのは、やはりタイトルにもなっている「酢ダコ問題」ですね。不思議なものです。妻と18年一緒でも、微妙に嘘をついてしまう時がある。妻が自信満々に「これ、おいしいよね?」と言ってくる時に、「俺、あんまそれ好きじゃないんだよね」というのも結構勇気がいったりする。僕は酸味が強いものや酸っぱいものがあまり好きじゃないけど、妻は好きで、妻好みの味でも、僕には合わないものがある。はっきりと「嫌い」だったら言いやすいんだけど、「合わない」時って言いにくい。

 夫婦ってそんなものなのだ。

 と、話は逸れたが、小島さんの手紙を読んでいると、今の僕の悩みとジャストフィットするところがかなり多い。それを佐藤愛子先生が、やさしく受け止めて、合気道のように、クルっと回されやっつけられる。「みんな違ってみんないい」とよく言います。その方がいいというのはよくわかりますが、なぜ、そうなのか?と、色々な言葉で説明してくれるおかげで、体に馴染んでくる。

 そして、100歳が近づいてもなお、ちょっとしたことに腹立つ佐藤愛子先生の体験を聞くと、結局人は何歳になっても怒るし苛立つんだなと安心する。だからこそ信ぴょう性があるのだ。

 考え方は人それぞれ。だからおもしろい。そう思いながら、もうしばらく続きそうな自粛生活、過ごします。

※女性セブン2020年5月21・28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト