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コロナ禍の子どもの目に映る「ざんねんすぎるおとな」の生態

子どもたちは常に見ている(イメージカット=共同通信社)

 自粛のストレスが背景にあることは疑いないのだろうが、ある種の人々の“問題行動”が取り沙汰されることが増えている。日々大人力について研究するコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

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 ほのぼのしたニュースが五臓六腑にあたたかく染み入る昨今です。こどもの日の5月5日に発表された第2回「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」で、高橋書店の『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』が1位に輝きました。2018年の第1回に続いての2連覇です。

 同作は2016年に発売され、小学生を中心に大ヒット。続いて出た「続~」「続々~」「もっと~」も大好評で、シリーズ累計350万部を突破。5月末には『さらにざんねんないきもの事典』が発売されます。関係者にとっては「ざんねん」どころか、笑いが止まらない状況と言えるでしょう。

 この事典には、知能が発達したせいで下痢ぎみになったゴリラなど、ざんねんな体や生き方、能力などを持ったいきものが紹介されています。けっして悪口の「ざんねん」ではなく、一生懸命に進化したいきものたちへの愛が込められているところがミソ。それぞれのちょっと笑えるざんねんっぷりに心癒やされ、勇気が湧いてきたりもします。

 さて、ざんねんな生態を持ったいきものが存在しているのは、自然界だけではありません。今の日本には、コロナ禍という特別な環境に順応して活発にうごめき出した「ざんねんなおとな」、いや「ざんねんすぎるおとな」がたくさん生息しています。子どもたちの目にどう映っているか心配ですが、いくつかピックアップしてみましょう。

【File.1】不安をふくらませて感染者や医療従事者を平気で差別する

 感染者の家に石を投げたり落書きしたり、医療従事者の子どもと遊んではいけないと言ったり、あるいはスーパーの店員さんや宅配の人をバイキン扱いしたり……。全国各地で、ざんねんなおとなのざんねんすぎる行動が観察されています。しかも当人は「そうされて当たり前」「用心して何が悪い」と思っているのが、さらにざんねんなところ。コロナへの恐怖心は、当たり前の想像力や判断力や人としての誇りを失わせてしまうようです。

【File.2】勘違いの正義感を振り回して「自粛ポリス」になり下がる

 店を開けている飲食店に嫌がらせの貼り紙をしたり、県外ナンバーのクルマの写真をSNSにアップしたり、芸能人の投稿に「ふざけるな!」と噛みついたり……。勘違いの正義感を振り回し、しかもそんな自分に酔っているざんねんな「自粛ポリス」が湧き出しています。いっぽうで「自粛ポリス」を非難して正義の味方気分を味わう「自粛ポリスポリス」も大量に発生。人間という生き物のざんねんさは、なかなか一筋縄ではいきません。

【File.3】デマやあやふやな情報を自分では善意のつもりで拡散する

 感染者が立ち寄ったという事実無根の情報を広められた居酒屋、ネットに実名や住所をさらされた上、でたらめな行動履歴を元に総攻撃を受けた感染者……。あやしげな医療知識や健康情報の拡散も、繰り返し見受けられます。こんなことをしてしまうだけで十分にざんねんですが、当事者は「よかれと思ってやったことだから」と自分を正当化してして反省しようとしません。根深くてタチの悪いざんねんさが、そこには横たわっています。

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