◆新型コロナ検査の精度は定まっていない

 ひと口に検査といっても、さまざまな種類がある。現在、日本で行われているものは「PCR検査」だ。“PCR”は、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction/ポリメラーゼは増幅のための酵素のこと)からきている。

 このPCR検査は、鼻腔などからぬぐった液を検体として用いる。ウイルスの遺伝子を増幅して検出する検査法で、遺伝子をもとにウイルスの有無をみるため、感染してから日が浅くても検出できる。

 遺伝子抽出には複数のステップが必要で、検出までに数時間かかる。また、実験者が感染してしまう「実験室内感染」を防ぐために、手順を慎重に行うことが求められる。このため、一日に処理できる検体数は限られている。

 すでに、欧米の一部で始まっている「抗原検査」(迅速簡易検査法)もある。鼻腔や咽頭からぬぐった液を検体として用いる。

 検査キットには、ウイルスに対する抗体が仕組まれており、検体にウイルスがあると、その抗体が結合してキット上に色のついたラインが確認できる。日本でも、インフルエンザの診断や妊娠検査薬で用いられている方法だ。15分ほどで簡単に検査できるが、感染してもウイルスが十分に増えるまではうまく判定できないため、PCR法よりも精度は劣るとされる。

 免疫反応からできる抗体を用いる「抗体検査」もある。指先などの皮膚を穿刺して得られる、ごく少量の血液を検体として用いる。ウイルスではなく抗体をみるため、感染しても、抗体ができるまでは、うまく判定できない。この検査法は、現在感染しているかどうかよりも、過去に感染したことがあるかどうかをみるのに適している検査とされる。

 このほかにも、さまざまな検査法があり、検査キットの開発などが進められている。

 どの検査でも、判定結果が感染の実態とどれだけ一致しているか、すなわち検査の精度が問題となる。しかし一般に、新型コロナの検査の精度は、まだ定まっていない。

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