世界を回って感じたこととは
◆世界27か国を回って、肌で感じた「幸福の結論」
「いちばん印象に残っているのは、フィジーです。“島のみんなが家族”という意識の強い国なのですが、島の人が、バックパッカーの私物のTシャツを断りもなく平気で着ている。人の物と自分の物の境目がない。驚いたのは、私がバスで運賃を払おうとしたら、ICカードの残高がなくなっていた。すると後ろのフィジアンが、“使いなよ”って自分のカードを貸してくれた。貧しい国でお金を盗られたことはありましたが、そんなことはいままでになかった。席を譲ることは当たり前。“俺のものはお前のもの。お前のものは俺のもの”という、本来の純粋な“貸し借り主義”の国なんです。
フィジーは『主観』を基準にした『幸福度』の上位国。仲よくなった現地の人に『幸せ』について聞くと、“隣の家は金持ちだけど、けんかばかりしている”と言う。お金は大事ではない。それよりも、家族や頼れる人の方が大事なんです。メキシコやフィリピンなどほかの“主観の上位国”でも同様なことを感じました。
信頼できる人たちに囲まれ、皆、リラックスしている。私は人に頼ることに苦手意識があったのですが、これらの国を旅して、結局、最後に助けてくれるのは人なんだな、と実感しました。いざとなったら依存しちゃってもいいと思う。それほどの信頼関係が結べる人がいる。それが幸福の条件だと、肌で感じました。
一方のフィンランドやスカンディナヴィア諸国など、国連が選出した『幸福度』の上位国では、教育や労働環境、老後の生活資金や福祉などの制度は抜群に整っている。それでも“自分は幸せではない”と感じている人も少なくはなかった。結局、どんなに恵まれていても、自分が幸せだと思えなければ、幸せじゃないんです」
現在、世界は新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態を迎えている。日本では緊急事態宣言が発出され、全国的に外出の自粛が求められている。人々は自宅にこもり、明日もどうなるかがわからない状況だ。堂原さんは「そんなときだからこそ」の「幸せになるためのヒント」を教えてくれた。