何気なく聴いているようで、頭の中のさまざまな映像の記憶を、自ら探しに行っている。とても主体的でクリエイティブなことをしているのだ。
「ラジオを聴いて楽しむことは、実際の人との交流に近いということもできます。パーソナリティーは一方的にどんどん話すので、理解しようと一生懸命耳を傾けます。この姿勢、人づきあいでも重要なことです。ラジオを聴いていると、人と交流するのと同じような刺激があり、温かな親しみも感じるでしょう」
聴く力は単に聴覚情報を得るだけでなく記憶、理解、思考に密接に関連している。聴く力が養われると自分の考えを伝える力、柔軟に行動する力も養われ、コミュニケーション能力も上がるという。
逆にテレビやスマホなど視覚情報主体の現代人、また独居などで交流が少ない高齢者は聴く力が衰え気味。“もの忘れが多い”“他人の気持ちが理解できない”“怒りやすい”といった症状も、その表れだと加藤さんは指摘する。
「テレビやスマホなどは情報量が多いように見えて、脳は受け身になりがち。特に高齢者はつけっぱなしのテレビを漫然と見ていると刺激どころか聴く力を衰えさせることにもなります。ぜひラジオをおすすめします」
◆好きな番組を聴く楽しみ ラジオ生活のすすめ
高齢者が脳を衰えさせないために、効果的なラジオの聴き方があるという。