「いずれの地域も、昨年、大規模な山火事がありました。動物たちは水がなくて困っていますが、街にはプールや噴水、緑の芝生など豊富に水がある。いまは街へ下りて来ても人がいないので、堂々と姿を現せるようになったのかもしれません。
人間の経済は、地球を掘ったり削ったりして成り立っていますが、それがいま限界に来ているのではないでしょうか。人間は自然には歓待されていない。むしろ邪魔者ですから、そこを歩かせてもらっているということを忘れてはなりません」
ズーノーシスは、身近な動物からも感染する恐れがある。
『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の監修を務める動物学者で日本動物科学研究所所長の今泉忠明さんは、現代人の「ペット」とのかかわり方にこう苦言を呈する。
「ペットの犬や猫にキスをしたり、一緒に寝たりするのは、すぐにやめるべき。『うちの大切なワンちゃん、ネコちゃんが、そんな汚い病気を持っているわけがない』と思っている人が多いようですが、種が違えば、それぞれ違うウイルスや寄生虫を持っているのは当然です。動物を勝手に人間と同一視してはいけない。これは、愛情とは関係ないことを肝に銘じてほしい」
かわいいがあまり、行きすぎた愛情表現をしたことが、新たな感染症を生む可能性もあるのだ。
※女性セブン2020年5月21・28日号