おむすびリレーを繋ごうとしてスルーされた千鳥・ノブ(時事通信フォト)
いま行われている「バトン」は、特定のお題に対してSNSなどで回答していくのだが、投稿を読んだ人が自主的にバトンを受け取って繋がってゆくのが本来の形だった。だが、バトンによっては、次の回答者を指定したり、見た人は回答しなければならないとなっていることも多い。
新型コロナウイルス関連で流行したバトンは、願いや思いが込められたものが多いのだが、バトンという仕組みそのものに対しては賛否両論のようだ。なぜなのだろうか。
◆有益情報あり、出会い直しの側面も
バトンは、Facebook、Instagram、Twitter、TikTok、YouTubeなど、ほとんどのSNSで見られる。テキストと写真、動画など、SNSによって投稿される形式は様々。Instagramでは、通常の投稿の他に24時間で投稿が消えるストーリーズ機能を使って投稿されていることも多い。
ユーザーたちは実際に、バトンをどのように受け取っているのか。
「役に立つ情報や楽しい投稿が多くて楽しかった」というのは、テレワーク中の40代女性だ。「親しい人が意外な本をおすすめしていて知らなかった側面を知れたし、投稿から気になった本は実際に取り寄せて読んだ。好きな芸能人が動画を投稿してくれたのもよかった」。
自分にも「#7日間ブックカバーチャレンジ」が回ってきたという彼女は、「回してもらえて嬉しかったし、本を選ぶのも楽しめた。投稿に反応をもらえて、同じ作家が好きな仲間も見つかった」と喜びを隠さない。
このように歓迎する人がいる一方で、「タイムラインがバトンばかりでいっぱいになっており、興味がないので不快」「自分は投稿したくない。回さないでほしい」と嫌がっている人も少なくない。
◆同調圧力やチェーンメール的側面も
知人に、「嫌なので回さないでください」とSNSで投稿している人がいた。改めて理由を聞いたところ、「人間関係による半強制なので、息苦しさを感じる。SNSくらい自由に投稿してもいいのでは。無理やり回すのがチェーンメールっぽい」と答えてくれた。
また別の人は、「回ってきたから引き受けたけれど、いいことなんだからやらなきゃいけない感が面倒くさかった。同調圧力を感じた」という。「楽しむのは自由だし、親しい人から回ってきたからやったけれど、他の人には負担をかけたくないから」と、バトンは自分で終わりにしたそうだ。
「指名されない寂しさとか、次に誰を指名するかという問題もあって面倒くさい」という声もある。千鳥のノブさんが藤あや子さんから回ってきたおむすびリレーを、「リレー繋ぐのはかまいたち山内と学天即奥田にしますー!」と投稿したところ、二人にスルーされたという。似たような羽目に陥った方もいるかもしれない。
また、バトン内容によっては他人に個人情報を教えてしまうリスクもはらんでいる。特に写真や動画には映り込む情報も多くなるため、自宅の場所などにつながる情報はないか確認してから投稿してほしい。公開範囲によっては、悪意を持ったユーザーに様々な個人情報を漏らしてしまう危険性があることも忘れてはならないだろう。
やりたくないのに無理やりやると、「バトン疲れ」やSNS疲れにつながってしまう。先に紹介した人の例のように、無理やり参加せず断ったり、自分はやるけれど他の人には回さないというやり方もありではないだろうか。