スポーツ

一口馬主クラブ会員としてオークスの出馬表を眺めてみたら

決戦の舞台は東京競馬場

 競馬ファンにとっては胸躍る2週間である。今週がオークス、そして来週はダービー。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 春のクラシックもいよいよクライマックスだが、一口馬主クラブ会員にとっては1歳馬の募集時期でもある。社台グループ系の社台サラブレッドクラブ、サンデーサラブレッドクラブ、GⅠサラブレッドクラブではすでにラインナップと価格が発表された。会員は募集馬の父母の成績や兄姉の活躍ぶりなどをチェックしつつ、これから順次発表される入厩予定厩舎、写真(動画)、測尺を心待ちにしていることだろう。

 最近ではセールスコメントも「世界に向けて」とか「国内のみならず」とグローバルになっているが、やはり夢は2年後のクラシック。会員は「世代の頂点」を目指す戦いに参加してほしいと思って出資馬を検討する。牝馬なら桜花賞、間に合わなければオークスにというのが切なる願い。愛馬がクラシックに出走する喜びは、何物にも代えがたいものだ。そんなことを考えながら、オークスの出走馬を眺めていたら、あれっ、サンデーサラブレッドクラブ所属馬がいないじゃないか、と驚いた。

 2000年に「ダイナース愛馬会」で募集され、出資することになった「リープフォージョイの99」はチャペルコンサートと命名され、2歳秋に黒字赤十字襷の勝負服でデビュー。桜花賞では7着に敗れたものの、オークスでは12番人気で2着に入った。出資を始めて10年目で初のクラシック参戦。サンデーサラブレッドクラブとしても初のオークス出走となった。ちなみにこの前年のオークスには、ローズバドとハッピーパスが出走している。重賞も勝ち、後のノーザンファームとサンデーサラブレッドクラブの発展に欠かせない繁殖牝馬となるが、当時は「社台サラブレッドクラブ」の所属であり、鞍上は黄色と黒の縦縞の勝負服だった。

 サンデーサラブレッドクラブの馬は、昨年のクロノジェネシスまで19頭がオークスに出走してブエナビスタとジェンティルドンナの2勝の他、2着3回3着3回。クラブとしては2011年にオルフェーヴルが三冠を達成、2013年には八大競争を完全制覇、さらにJC4連覇と、常に競馬界のトップに君臨、クラブ法人であるサンデーRはここ10年で実に8回もリーディングオーナーの座に就いている。

 他2回は同じノーザンファームが主体となったキャロットF。オークスの常連で2004年のドルチェリモーネ以降毎年のように出走、シーザリオ、トールポピー、シンハライトとサンデーサラブレッドクラブ以上の勝利数を誇っている。やはり「身内」での競争は組織を活性化させるのだろう。2018年からはノーザンファーム第3のクラブ、アーモンドアイを擁するシルクRも加わり、三つ巴のリーディングオーナー争いを繰り広げている。

 今年はキャロットから藤沢和厩舎&ルメール騎手のサンクテュエール、シルクは世代最初に勝ち上がった中内田厩舎&川田騎手のリアアメリアが出走するが、サンデー所属馬はゲートインすることができなかった。フローラSには2頭、桜花賞トライアルではフィリーズレビューに1頭出走したがそのほかのトライアルには出走すらない。

 リーディング争いではすっかり4番手に押しやられてしまったのが社台Fを主体とした社台RH(社台サラブレッドクラブ)。2018年にはサンデーRに60勝も差をつけられたが、昨年は18までその差を詰めた。今年5月17日までの結果を見ると収得賞金こそノーザンファーム御三家に次いで4位だが、43勝はサンデーRの38勝、キャロットFの39勝を上回っている。

 そしてオークスにはディープインパクト産駒の3頭出し。この年社台サラブレッドクラブでは8頭のディープ牝馬が募集されている。もちろん良血ぞろいで募集価格も安くないのだが、3頭もオークスに出走するなら今年もやはりディープに出資しようかな、と思わないではいられない。

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン