「あなたは結婚したくないと言うし、私もこんな状況でひとりで子供を育てる自信がない。だから堕ろすの」
自分が自分ではなくなったのではないかと思うほど冷静にこう言うと、彼が、
「おれは自分の母親の命と引き換えに生まれてきたんだ。だから幸せになってはいけないと思っていた。おれは幸せになれないけど、子供は別。幸せにしてあげたい」
そう告白してくれました。聞けば、彼は3人きょうだいの末っ子で、彼のお母さんは体が弱く、彼を産んですぐに亡くなったそうです。
いまでは、何があっても子供を守ろうと、ふたりで決意を固めています。
「お腹の子が女の子なら、母さんの生まれ変わりかも」
私も、彼のお母さんの分まで、彼と生まれてくる子供を幸せにしたいと思います。
※女性セブン2020年6月11日号