国内

ネット信者ビジネスの罠、アナログ人間はカンダタのようなもの

「おいしい話」には要注意

 芥川龍之介『蜘蛛の糸』は、地獄に落ちた泥棒のカンダタが、生前に蜘蛛を助けたことから釈迦が救いの手として蜘蛛の糸を垂らすが、後に続く罪人たちを蹴落として独占しようとしたために、糸が切れて救われないという話だ。ネットにも似たような雰囲気で人が群がっている空間がある。「信者ビジネス」の危うさについて、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。

 * * *
「信者ビジネス」という言葉がネットではよく使われるが、読者諸氏におかれてはこれらに引っかからないようにしてほしい。コロナで仕事が減ったり、定年後の人生で少しでもお金を稼ぎたいと考えた場合にネットをと見ていたら、「YouTubeで楽に稼げる方法教えます!」「自宅にいながら月に3ケタ万円稼げるノウハウ集!」を謳う有料PDFファイルやオンラインサロンが目に留まった。

 大多数の人はこの煽り宣伝文句の通りに成功しないだろう。3万9800円を支払って買ったPDFファイルにはビジネスの基礎的なことしか書いていないし、オンラインサロン参加者から主宰者以上の大金持ちは滅多に出てこない。

 カンダタを含めた、蜘蛛の糸にすがろうとする貧乏人がその講師様の意見を聞こうと待ち侘びている姿を見ることができる。そこに参加する人々は「これって本当に役に立っているのだろうか……」といった疑問はある。だが、「こんなに多くの人が参加しているし、〇〇先生は私に優しい一言をくれたこともある。それに、もう半年もやっていてそこそこの金額を払ったからここでやめるのはもったいない」と参加し続けるのである。

 ところがある時、すべて講師役の教えに従って行動していたにもかかわらずまったくカネを稼げないことを知る。「これって“教祖様”へのお布施だったの? 私は信者でしかなかったの?」とこの人は目が覚めるのだ。

 この段階で気付いて良かった。1年以上もズルズルとサロンに参加し続けていると、完全にあなたは「副幹部代理補佐」ぐらいにはなり、さらなる信者獲得に利用されるだけとなる。

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト