例えばDon’tスキルのひとつである「批判しない」。子どもには、つい「ダメだよ」「そんなことするなんて悪い子ね」「それは間違ってる」といった“ダメ出し”や、「泣くのをやめなさい」「手を出さないで」といった“禁止”をしてしまうが、こうした「批判」は子どもの自己肯定感を下げ、親子関係が悪くなる原因になるという。また、間違いを指摘するだけで正しい行動を教えていないため、子どもがどうふるまえばいいのかわからないそうだ。
一方、Doスキルのひとつである「ほめる」はわかりやすいだろう。ほめるときのポイントは、「具体的にわかりやすくほめる」ことだという。例えば「上手ね」というだけではなく「クレヨンで上手に塗れたね」と言ったり、「使ったクレヨンをきちんと箱に片付けて、いい子ね」と言ったりすれば、子どもにとってどの行動がほめられるのかはっきりわかるので、ほめられた行動を増やそうとする。
「1日5分だけ、毎日1対1でこのスキルを使って、親子で一緒に遊んでください。子どもの自己肯定感が高くなり、驚くほど問題行動が減るはずです」
こうしたPCITのスキルは東京都の児童相談所や全国のメンタルクリニックでも採用されているという。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、家で過ごす時間が多くなっている今、このスキルを使って育児を楽んでみてはどうだろうか。
【プロフィール】加茂登志子(かも・としこ)/元東京女子医科大学教授。東京都女性相談センター嘱託医。東京女子医科大学付属女性障害健康センター所長を経て、若松町こころとひふのクリニックPCIT研修センター長。一般社団法人日本PCIT研修センター所長。近著に『PCITから学ぶ子育て』(小学館)がある。