「日本語の学習でも、普通の学校なら50音の修得に3か月かかるところ、ヌエーバの生徒は1か月もかからず覚えていました。ギフテッドの子は学習能力も意欲も高く、例えば『あいうえお』を教えなくても、興味を持つと自然に五十音を覚えて本を読めるようになります」
実は川崎さんの娘さんもギフテッドで、4才からヌエーバに通っていた。
「小さい頃から変わった子でした。3才の誕生日には“今日からおむつはいたしません”と宣言して、実際におむつをはかずに過ごすような子でした(笑い)」
3才児とは思えない大人びた発言だ。ギフテッドには大人と話すのが好きで、大人びた子供が多いという。
「同年代の子供と話すのでは、もの足りないのかもしれません。ギフテッドは好奇心が強く、興味を持って調べたことを誰かに伝え、議論することを好みます。ヌエーバの中学生の中には、日本の『禅道』について自ら調べ“自分ならこう考えるけど、日本人はこう考えるよね。先生ならどう考える?”と尋ねる子もいました」
ギフテッドはボキャブラリーが豊富という特徴も持つ。
“ひふみん”の愛称で親しまれる棋士の加藤一二三九段(80才)も、そのずば抜けた記憶力からギフテッドとされる。いまでもプロ63年の対局すべてを思い出せる、常人離れした記憶力の持ち主だ。
川崎さんの教え子の1人に、米フェイスブック社のシステム部門幹部を務めるアマン・クマール氏がいる。現在32才のクマール氏は、エストニアのIT分野の国家アドバイザーも務めている。
「彼は日本語の50音を1日で覚える抜群の記憶力を持っていました。ハーバード大や米プリンストン大学といったエリート大に合格する、素晴らしいギフテッドでした」
1946年には高IQの人々が知的交流を深める「MENSA」が設立され、2016年にはソフトバンクの孫正義会長が「孫正義育英財団」を設立するなど、“世界の天才”を支援する場所は年を経るごとに増えている。
才能教育を受けたギフテッドが、その才能を生かして世界で活躍する例は多い。“世界一のIQを持つ”といわれるマリリン・ボス・サバント氏(73才)もその1人だ。