国内

ネット中傷 「依存症」だけでなく煽って稼ぐ業者も跋扈する

悪いことだと分かっているがSNSを、ネット中傷をやめられない

悪いことだと分かっているがSNSを、ネット中傷をやめられない

「やめたいのにやめられない」と特定の人物へのネット中傷を続ける40代女性の告白は、大きな反響を巻き起こした。彼女は、自分の発言への反応を見て「あの女」へのこだわりに何か変化があったのだろうか。仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた俳人で著作家の日野百草氏が、今回は、自分の告白の反響を受け止めた女性の現在と、一筋縄でいかないネット中傷の存在についてレポートする。

 * * *
「ネットの反応はわかってました。そりゃそうですよ。私も最初からわかってますし」

 電話口のチューミンさん(仮名・ハンドルネームとも関係なし・40代)は元気そうだった。声もあいかわらず可愛い。私はSNSの誹謗中傷の実態を知るため彼女に話を聞いた。彼女はとある有名人をネットで非難することに執着していて、それがやめられないと話す女性だ。彼女の告白記事に対する反応は様々だったが、予想通り否定的なものばかりだった。私はネガティブな内容の場合は親しい対象とよく煮詰めた上での取材が多いため、とある会社の紹介とはいえ彼女のようなまったくの他人を扱うことは少ない。だから非常に心配したというか、反応が怖かった部分もあることを正直に話した。

「気にしないでください。私はやめたいとは思ってるわけで、これが悪いこともわかってます」

 SNSの誹謗中傷を5年以上も続け、もうやめたがっている彼女。否定的な反応も意に介してはいいない。そもそも彼女も最初から誹謗中傷が悪いことはわかっているので世間の反応に怒ることはなかった。そして彼女は電話で話す限りは礼儀正しい女性だ。ただし、

「中傷をしなきゃいけないように仕向けてるのはあの女ですし」

 これさえなければ――というエクスキューズはつくが。で、いまも「あの女」に執着しているのか。

「もちろんです。あの女がいる限りやめられないのがつらいです。あの女が先に消えればいいのに。ほんと図太いブスですよ」

 彼女がその有名人を語る時は「あの女」としているが、これは本稿における便宜上のもので実際は実名(ペンネーム)だ。「あの女」を語る時、チューミンさんの口調は早口で乱暴なものとなる。

「私だけならわかるんです。やっぱ私がおかしいのかなって。でもあの女の場合はアンチだらけで叩いてるのは私だけじゃない。つまりあの女が悪いんですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン