ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたなどとして漫画家らを提訴し、記者会見するジャーナリストの伊藤詩織さん(時事通信フォト)

ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたなどとして漫画家らを提訴し、記者会見するジャーナリストの伊藤詩織さん(時事通信フォト)

 チューミンさんのアンチっぷりにブレはない。確かに検索してみると、驚くほど多くのアカウントがこぞって「あの女」に対する非難を今も繰り返している、誹謗中傷が社会問題となり、訴訟の準備や実際の行使を宣言する有名人が増えているにも関わらず、そんなの気にせず大量の批判と中傷のリプを飛ばしまくっている。というか「あの女」に限らず、「その女」も「この女」も、「あの男」も、ありとあらゆるアカウントがあちこちで攻撃を受け、今現在も炎上している。あの日、女子プロレスラーの女の子がそういった行為の積み重ねの果てに死んでしまったというのに、それとこれとは関係ないとばかりに誹謗中傷が繰り返されている。そのことをチューミンさんに聞いてみると、

「しょうがないですよ。気に入らない人間が勝手が見つかっちゃうシステムというか、どんどんお勧めされちゃうんですから」

 面白いことを言ってくれた。なるほど、いわば自分のための中傷候補リストが次から次へと、回転寿司のように回ってくるようなものか。確かに検索はもちろん、トレンドやリツイートで興味のないもの、知らないものでも回ってくる。それが気に入らなければ気軽に攻撃メンバーの仲間入りを果たせる。しかし訴えられるかもしれないわけでそのことを指摘すると、チューミンさんに笑われてしまった。

「日野さん、あの女がそんなことしても、私たち一般人なんてたいしたことないですよ。しょせん民事ですし、いままでいろんな一般人が訴えられてもなんでもなかったでしょ」

 確かにそうだ。これまで多くの有名人がネットの誹謗中傷で裁判を起こしたが、その被告が広く晒されることなどほとんどなかった。現状は民事の微罪でしかないネット中傷、そもそも裁判で決着がつくことのほうが珍しいくらいだ。警察が動いたって生命・身体に危害を加えられなければ不起訴の可能性がほとんどだし、動いてくれるかどうかもあやしい。私も身近にネット絡みの中傷で訴えられた男性を知っているが、Facebookを見る限りいまも元気に会社勤めで妻や子どもと家族旅行を楽しんでいたりする。ましてや彼の場合、訴えてきた相手が有名人ではなかったので報道すらされない。その賠償金額もわずかなもので、彼からすればスピード違反の罰金感覚だろう。サラリーマン以上にしがらみの少ない市井の自営や無職なら無視したって構わないかもしれない。これでは被害者も裁判なんか嫌になってしまうだろう。有名人はずっと微罪であってもついてまわるが、悪意の一般人(善意の一般人はもちろんそんなことしない)にしてみればやったもん勝ちの世界だ。

「私はコルセンのバイトですし、あの女ほど失う立場なんか無いですもん」

 これを承知のチューミンさんはある意味、確信犯か。

関連キーワード

関連記事

トピックス

放送作家の山田美保子氏(左)とフリーアナウンサーの馬場典子氏が対談
激戦の女性アナ界、“新女王”田村真子アナの座を脅かすのは誰か? 岩田絵里奈アナ、原田葵アナ、鈴木奈穂子アナ…職人アナとキラキラアナの二極化時代に
週刊ポスト
ミャンマーとタイの国境沿いの様子(イメージ)
《「臓器売られる覚悟」「薬を盛られ意識が朦朧…」》タイ国境付近で“消える”日本人女性たち「森林で裸足のまま保護」
NEWSポストセブン
女子プロレス団体「マリーゴールド」からリングデビューした咲村良子
相次ぐアイドル、グラドルの女子プロレスデビュー “生き字引”ロッシー小川氏「もう飽和状態」「フワちゃんは別格だった」
NEWSポストセブン
小室圭さん(左)と眞子さん(右)
小室眞子さんの“後見人”が明かすニューヨークでの生活と就活と挫折「小室さんは『なんでもいいから仕事を紹介してください』と言ってきた」
女性セブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《“ほぼ丸出し”ファッションに賛否》カニエ・ウェスト、誕生日を迎えた17歳年下妻の入浴動画を公開「彼なりの円満アピール」
NEWSポストセブン
販売されていない「謎の薬」を購入している「フェイク動画」(instagramより。画像は一部編集部にて加工しています)
「こんな薬、売ってないよ?」韓国人女性が国内薬局「謎の薬」を紹介する“フェイク広告動画”が拡散 スギ薬局は「取り扱ったことない」「厳正に対処する」と警告
NEWSポストセブン
教室内で恐ろしい事件が(左は現場となった法政大多摩キャンパス内にある建物、右は教室内の様子)
「女子学生の服が血に染まって…」「犯行直後に『こんにちは!』」法政大・韓国籍女子学生が“ハンマー暴行”で逮捕、学友が語った「戦慄の犯行現場」
NEWSポストセブン
ドジャースでは多くの選手が出産休暇を取っている(USATodaySports_ReutersAFLO)
大谷翔平、第一子誕生へ 真美子夫人の出産は米屈指のセレブ病院か ミランダ・カーやヴィクトリア・ベッカムも利用、警備員増員などで“出産費用1億円超え”も
女性セブン
中居正広の女性トラブルで浮き上がる木村拓哉との不仲
【全文公開・後編】中居正広の女性トラブル浮き上がる木村拓哉との不仲ともう一つの顔 スマスマ現場では「中居のイジメに苛立った木村がボイコット」騒ぎも
女性セブン
たぬかな氏から見た弱者男性とは
「弱者男性はブス女性よりも生きにくい」元プロゲーマーたぬかな氏が断言した「弱男」の厳しい現実とヒエラルキー
NEWSポストセブン
第49回報知映画賞授賞式で主演女優賞を受賞した石原さとみ
石原さとみの夫が経済紙に顔出しで登場 勤務先では幹部職に大出世、複数社で取締役を務め年収は億超えか 超スーパー夫婦の‘秘策”は瞑想
女性セブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
《覆された引退説》「本人というよりかはスタッフのため」中居正広が芸能活動の継続を示唆、モチベーションの“源泉”は
NEWSポストセブン