父の存在を入口に、より正確な近代史の理解を促したかったと清水氏は言い、「75年も前の出来事であっても、自分の家族の歴史と重なるのだと知れば、少し身近になるでしょ?」。
そんな個人的な旅の果てにも戦争や歴史の非情さはまざまざと姿を現し、父を騙したその全てを、著者ならずとも憎みたくなった。
【プロフィール】しみず・きよし/1958年東京生まれ。新聞社、出版社にカメラマンとして勤務の後、新潮社『FOCUS』記者を経て、現在日本テレビ報道局記者・特別解説委員。『桶川ストーカー殺人事件―遺言』(編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞・JCJ大賞)や『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(新潮ドキュメント賞・日本推理作家協会賞)等、捜査当局顔負けの調査報道及び著作で知られる。近年は『文庫X』としてカバーが話題になった作品が実は『殺人犯は…』だったことでも話題に。165cm、79kg、A型。
構成■橋本紀子 撮影■横田紋子
※週刊ポスト2020年6月26日号