背中の痛みとは無関係に思える臓器に大病が潜んでいるかも
ストレッチや座り方を改善しても背中の痛みが治まらない場合や、何らかの疾患に関係するような不調が当てはまる場合は、診察を受けることを検討してほしい。ひとつの判断基準は「横になって痛みが治まるか否か」だと、千葉大学医学部附属病院総合診療科科長の生坂政臣さんは言う。
「ぎっくり腰など急を要さない病気なら、安静にしていれば痛みが治まりますが、がんなどの大病の場合は横になっても痛みます。
またすい臓がんだけでなく脊椎・脊髄腫瘍なども寝ているときに痛むことが多いので、夜中、背中の痛みで目が覚めるならかかりつけの病院に行った方がいい」(生坂さん)
椎間板ヘルニアや背骨の骨折など骨の病気なら整形外科にかかればいいが、すい臓がんや腎盂腎炎は整形外科では見落とされることもあり、患者側の病院選びも大事になってくる。生坂さんは「体を動かしたときに症状が悪化するか否か」がポイントだと言う。
「腰をひねるなどして動かしてみて、痛みがひどくなるようなら骨や筋肉に問題があると考えて整形外科へ。動かしても痛みが変わらないなら、内臓疾患の可能性があり、内科か総合診療科を受診するといいでしょう」(生坂さん)
正しく診断してもらうには、医師への症状の伝え方も鍵になる。川崎幸病院の川崎大動脈センター・センター長で大動脈外科部長の大島晋さんがアドバイスする。
「いつもの痛みとどう違うのか、痛みのほかにどんな症状があるのかなどを細かく伝えることが大切です。例えば大動脈瘤の破裂なら、非常に激しく痛むといった特徴があるので、医師にしっかり伝えてほしい。“背中が痛い”だけでは診断が難しく、亡くなってしまったケースもあります」
特に大動脈瘤は破裂すると手遅れになることもあるので、定期的な検診も重要だ。大島さんが続ける。
「基本的に動脈瘤は1年で1㎜大きくなりますが、ある程度の大きさになると加速度的に大きくなる。5~6cmになると血管が破裂する可能性が高くなります。動脈瘤はCT検査で見つけられるので、生活習慣病などで不安がある人は、ぜひ検査を受けてほしい」
自分の体が発するSOSを見逃さないようにしたい。
※女性セブン2020年7月2日号