昨年12月、米国最大の年末音楽祭「Jingle Ball」で圧巻のパフォーマンスを見せたBTS(写真/GettyImages)

◆メンバーの自宅にいるような演出

 コンサートは、仁川空港近くにある統合型リゾート「パラダイスシティ」に、2つのステージと5つの部屋がセットされ配信された。「BTSの部屋にファンを招待する」というコンセプトの元、自宅のリビングやメンバーの部屋のようなインテリアが施され、トーク中はメンバーがソファーでくつろいだり床に寝転がったりして進行した。

 オンラインならではの工夫として、6つのアングルを視聴できるマルチビューも用意された。6つの画面を同時に表示でき、好きなアングルを選択してその画面だけ見ることができる。クローズアップアングルを選択すると、目の前30cmの距離にメンバーが立っているかのよう。スカイビューアングルでは、脚を曲げる角度までぴったり息が合うBTSの「カルグンム(切れ味の抜群の群舞)」を楽しめた。

 その他、メンバーがそれぞれ自撮り棒を手にスマートフォンカメラで自撮りしながらトークしたり歌ったりする映像や、メンバーと目を合わせて15秒間まばたきせず我慢するゲームは、ファンにはたまらない演出だ。コンサートを視聴しながらコメントできる機能もあり、メンバーがコメントを読みながら書き込む人数の多さに驚くなど、ファンとの距離を縮め、つながりを感じさせる絶好のツールとなった。

 メンバーがそれぞれ10秒ほどセリフを囁く声を録音した「ASMR」も見逃せない。ASMRとは、物を噛む音や肉を焼く音など、耳への刺激によって感じる反応や感覚のこと。脳がゾクゾクするような妙な心地よさが若者を中心に人気を集めており、BTSメンバーによるASMRの「囁き」は、韓国では妄想彼氏ならぬ“鼓膜彼氏”と話題になっている。

 さまざまな工夫ともてなしで盛りだくさんの内容となった「BANG BANG CON」。ファンはもちろんのこと、コロナ禍で疲れた多くの人々の心を癒したことだろう。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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