08年の毒入り冷凍ギョーザ事件(共同通信社)
「年間240万件以上の輸入食品に対し、食品衛生監視員が420人ではどうしても検査できる数に限界がある。少なくとも3000人程度まで増員しなければ、十分な検査体制は維持できない」
検疫で検査する農薬や添加物、細菌は品目ごとに限定されているため、「それ以外の違反農薬などが含まれていた場合は検知されない可能性がある」(垣田氏)という。
そこに新型コロナの影響も加わった。
「とくに問題なのは、保健所に配属される食品衛生監視員です。国内に流通した食品の監視役である保健所は、これまでの予算カットで規模縮小が進み、19府県で専任の食品衛生監視員がいない状況です。そのような体制のなかでコロナが発生して保健所がてんてこ舞いになり、食品を監視するどころではなくなっています」(小倉氏)
輸入時の検疫体制にもコロナは影響したようだ。
「緊急事態宣言が発令されて輸入量が減り、検疫所に家庭の都合で出勤できない職員もいた。検疫率は若干落ちていたと思われます」(厚労省担当者)
様々な要素が絡み合い、中国産食品にまつわる問題はなくならない。今年、中国からの輸入食品に食品衛生法違反が発見された業者が言う。
「あまり扱っていない食品でいきなり違反が見つかって、すべて焼却処分しました。ウチの扱う食品は中国産がほとんどで、その他の国では量が少なく取引できません。リスクがあっても今後も中国頼みが続くでしょうね」
コロナが収束に向かっても、中国産食品リスクは消えない。
※週刊ポスト2020年7月10・17日号