◆無印と別れたファミマはドンキと親密に
一方、ファミリーマートは「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)と2017年8月に資本業務提携を発表。2019年8月16日時点で4.88%だったPPIH株の保有比率を2021年8月までに最大15%まで引き上げるとした。6月9日現在で10.02%まで保有比率を高めている。
ファミマは2018年6月から都内3店舗(「立川南通店」、「大鳥神社前店」、「世田谷鎌田3丁目店」)で実施していたドン・キホーテの運営手法を取り入れる共同実験を今年2月29日に終了した。商品をうず高く積む圧縮陳列など、ドンキ流のノウハウを採用したほか、多数のドンキ商品を含め取扱品目を1.5倍~1.7倍に増やした。
その結果、菓子や日用品などが好調に推移し、売り上げや客数、客単価が伸びる効果が確認されたため、実験の成果を店舗運営に取り入れるという。
この時、話題をさらったのがドンキ名物の焼き芋だった。2019年12月末から都内の一部店舗で、国産紅はるかを使用した焼き芋(税込み198円)の販売をはじめたところ、実験店の売り上げランキングの扱い個数で6位、販売金額で5位になったこともあった。
こうした成功事例を積み重ね、伊藤忠=ファミマ陣営は今後ドンキをグループに取り込む長期戦略を立てている。一方、PPIHはファミマが切り捨てた総合スーパーユニーを傘下に収め、ドンキのやり方で“再生”を図っている。ファミマが扱いに困ったユニーの既存店がコロナ禍で業績が急回復。ドンキとの共同店への業態転換を抑制する方針を打ち出した。ファミマが切り捨てたユニーが戦力になってきたわけで、PPIHにとっては嬉しい悲鳴である。伊藤忠とPPIHは同床異夢なのではなかろうか。
◆セブンと日販で10万円の大差
ローソンが店内に無印良品を置き、ファミマがドンキ化する背景には“10万円の壁”があり、この差を縮められなければ生き残れないとの危機感がある。
コンビニ業界でセブン-イレブン・ジャパンとファミマ、ローソンでは稼ぐ力に歴然とした差がある。1日の1店舗当たりの売上高(日販)はセブンが65.6万円。ローソンは53.5万円、ファミマが52.3万円(2020年2月期)。日販の差は10万円以上あり、その差はなかなか縮まらない。いかにして客数や買い上げ点数を増やして日販を底上げするかが喫緊の課題なのである。そこで、日販アップへのローソンの回答は、女性や若者に人気の無印を戦列に加えることだった。