自粛機関にはもう戻りたくない(時事通信フォト)

「緊急事態宣言を経験して、感染リスクを低減する予防法は国民に広く周知されました。たとえば、人通りの少ない近所の道路や公園では、無理してマスクをつけて歩かなくてもそれほど感染リスクは高くないという知識を皆が身につけている。一方で、電車内などではマスク着用が必須だし、人と会うときもオープンカフェなどを選んだほうが三密は避けられる。無理して外出することはありませんが、今では国民の多くがそのような適切な予防行動をとれています。

 ほとんどの人々は、『4月の緊急事態宣言と同様の自粛はもうできない』と感じている。これからは“定義のない自粛”を求められても限界があります」

 感染予防に努めることはあくまで前提だ。生活者の実感としては「もう自粛はしない」という意見は必ずしも“暴論”とは言えないのではないか。

「もう自粛なんてしない」──そう主張する識者たちに共通しているのは、決して個人が好き勝手に振る舞えばいいということではない。第2波の到来を前にして必要なのは、政治や行政が押しつける「自粛」ではなく、国民全員が第1波の経験をもとに身につけた「自律」で行動するという生活様式だ。

「自粛」という言葉に伴う「正義感」との向き合い方も問われている。自粛警察に潜むのは「自粛が正義、自粛しないのは悪」という価値観だが、第2波を迎える前に、その3か月前の“常識”を変えていく必要があるのかもしれない。

 第2波がどのような形で訪れるかは、誰にも分からない。第1波の自粛を総括し、今後の望ましいあり方を考えることは、来たるべきリスクと向き合うことでもある。

※週刊ポスト2020年7月24日号

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