新型コロナの対応に注目が集まる小池都知事(共同通信社)
4段階の警戒レベルは色分けされ、段階が高くなるほどレベルも強まる。緑で示した1段階は「感染者数の増加が一定程度にとどまっていると思われる」、黄色の2段階は「感染拡大の兆候があると思われる」、オレンジの3段階は「感染が拡大しつつあると思われる」、赤で表した4段階は「感染が拡大していると思われる」である。
まず感じたのが、警戒レベルの警報に「思われる」という表現はアリなのか?という点だ。明確さを欠く表現にこの指標の曖昧さが見事に表されている。さらに曖昧だったのが、小池都知事が会見で示したお得意のフリップだ。
東京都では2日、107人の感染者が確認されていた。都知事は、警戒レベル3段階目にあたる状況であるという認識を示し、「感染拡大要警戒」というフリップを掲げたのだが、その色はなんと緑色。緑に白字のフリップである。3段階目はオレンジのはずなのに、なぜ1段階の緑なのか?ここはオレンジでしょう!とテレビに向かってツッコミを入れた。視覚的な色の効果はどこへやら、指標を示す側のいい加減さが見えてくる。
だが待てよ。緑は確か都知事のイメージカラー。こんな時まで“百合子グリーン”で存在感を強調するのか。さすがは都知事選で圧勝しただけのことはあるなと、妙に感心させられた。
15日のフリップはさらに混迷を極める。都知事は警戒レベルを最も深刻な「感染拡大警報」へと引き上げた。当然、フリップは4段階目の赤、東京アラート発令時の都庁舎やレインボーブリッジのような真っ赤な色かと思いきや、掲げられたのは下が黄色で上が赤の2色のフリップだったのだ。「なぜ???」しばらくの間、頭の中の大きなハテナマークが消えなかった。感染拡大の兆候があるのか、拡大しているのか、2段階と4段階の中途半端な色分けに、判断の迷いや警戒感の甘さが感じられた。
とはいえ、警戒感が甘いのは国も同じだ。多くの自治体がGo Toキャンペーンに反対するなか、政府は経済対策の目玉として推し進めようとしている。小池都知事もすかさず「ブレーキとアクセルを同時に踏むようなもの」と反発し、都民に向けて不要不急の都外への外出自粛を呼びかけた。運用見直しで東京は対象外とされたものの、いい加減にこうしたゼロサム・バイアスから抜け出し、足並みを揃えていかなければ、「圧倒的東京問題」と言われたたまま感染者数は増加し、第2波に飲み込まれることになるのではないだろうか。