3つの不安抱える「PS5」
そんな中、ソニーは今年の年末商戦期に次世代ゲーム機「プレイステーション5」を発売する予定だ。ハードディスクではなくフラッシュメモリーを使った高速SSDと高性能半導体が生み出す圧倒的な“イマーシブ(没入感)”が売りだとしている。
今年中の発売が予定されているソニー「プレイステーョン5」
没入感とはあまり聞き慣れない言葉だが、「ゲームソフトに熱中する様」ということのようである。だが、この没入感という言葉は、実はゲーム機では極めて験(ゲン)が悪い。
なぜかというと、すでに任天堂の故・岩田社長が一時期好んで使った表現だからである。そして、このコンセプトで世に問うたゲーム機が「ニンテンドー3DS」と「バーチャルボーイ」の2機種である。しかし、バーチャルボーイは出荷台数77万台と大失敗に終わった。3DSも販売(着荷)台数が8000万台とソニーのゲーム機で失敗に終わった「PS3」並みだった。
もっとも、ゲーム機の販売が「デザイン」と「スタイル」で決まるならば、PS5は3つの不安材料を抱えている。
第1に、その大きさである。サイズは公表されていないが、公開された画像から高さは35cmを優に超える巨大さだと思われる。重量も相当なものと推測され、スタイリッシュさからはかけ離れている。仮にヒットしたときでも、このサイズでは緊急の空輸は行えないだろう。
第2が、曲面デザインである。なにをもって曲面とするかには様々な意見があろうが、人間は簡略化してモノをとらえる傾向があり、どうも板状でないとゲーム機に見えないようである。ネット上では〈中央線の特急あずさに見える〉とか、〈ルータに見える〉など、ゲーム機に見えないという意見が散見されるのは不安材料と言っていいだろう。
第3に、白い色で成功したゲーム機は少ないということである。成形技術が進歩した1990年代以降、白いゲーム機で成功した事例は「Wii」ぐらいしかない。そのWiiにしても、リモコンの斬新な操作性がライトユーザーには受けたが、マニア受けは決して良くなかったのである。