私も年齢なのか胃もたれ、はある。高級肉をたんまりと目の前に出されて「さあ、召し上がれ!」と言われても箸は簡単に進まない。美味しい肉は、一枚ずつゆっくりとじんわりと胃の中で溶かしたい。
つまりキャスティングが名優揃いで、肝心の木村拓哉さんの演技が目に飛びこみづらかった、というのが第1章を見た感想。ところが第2章ではメインが木村さんと、斎藤工さんのタッグである。めちゃくちゃシンプルになったキャスティングで、木村さんの演技が存分に堪能できるのである。個人的に、普段の“キムタク”イメージと離れた、ちょっと気弱な演技をする木村さんがタイプである。『ロングバケーション』(1996年)の瀬名秀俊役、『CHANGE』(2008年・ともにフジテレビ系)の朝倉啓太役がそれだ。
警護バカな島崎にまた会いたい
元々、立っているだけでもかっこいい2人が、依頼人に飛んでくる様々な矢から護るために、飛んだり跳ねたりするのだからもう最高。緊迫感がテレビの画面越しにじわじわと伝わってくる。
それから木村さんが演じる島崎は、徹底して依頼人の味方であることもいい。周囲に何と言われようと、自分の警護を頼ってくる人を絶対に裏切らない。こんな混沌とした世の中でも、こういう絶大な信頼感が警護料を支払うことで得られるなら、それもいいなあと見る側に思わせてしまう。そんな情熱と、ブレない島崎の精神が伝わってくるのである。まあ、頼んだところで島崎が登場するわけではないことは承知しているけれども……。
次回はいよいよ最終回。島崎が劉の罠にはめられてしまうのかもしれない……というところで、第6話は終了。この先には大きな仕掛けが待っているのではないかと、ドラマオタクとしては期待をしてしまう。
そして第3章があるとすれば、木村さんとしては『HERO』(2001年・フジテレビ系)以来のシリーズ化。テレビでは2シーズンで終了しているので、3シーズンに続けばご自身にとっても初の試みとなる。放送局はあの『相棒』をはじめ、多くのシリーズものでヒットを連発するテレビ朝日。ひょっとしたら、このまま島崎がシニア世代を迎えても、まだ誰かを護る姿が拝めるかもしれない。そんなことを考えつつ、木曜の21時はテレビ前、待機。
【プロフィール】こばやし・ひさの/静岡県浜松市出身のエッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。これまでに企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊以上。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。