ビジネス

コロナが終息しても「オフィスは仕切るべき」と考える理由

アクリル板の仕切りに失望

 このようにある意味で時代後れになった日本式のオフィスだが、降ってわいたコロナ禍の影響で見直す動きが見られる。「デスクに仕切りを設ける企業が増えている」と聞いて、私はようやく集中できる空間が確保されるようになると安堵した。

 ところが実際にオフィスを覗いて、思わず失笑しそうになった。仕切りは透明なアクリル板である。たしかにそれでウィルスの侵入は防げるかもしれないが、仕事に集中できる環境にはならない。ウィルスは遮らなければならないが、視線を遮ってはいけないらしい。

 創造的な仕事をするうえでは一人で集中できる場と、同僚と議論を交わす場の両方がいる。したがって常駐するデスクには、海外のように視線や雑音を遮る仕切りを設けるべきだし、一方でミーティングルームや気軽にコーヒーでも飲みながら会話ができる場所が必要だ。

机を逆向きにするだけでも効果あり

 仕切るより、もっと簡単な方法もある。デスクを反対向きにし、それぞれが壁や窓に向かって座ればよい。そして部屋の真ん中にもテーブルを置いておけば、いつでも話し合いができる。

 そのようなオフィスを海外でときどき見かけるのは、仕事に集中できる環境づくりをいかに重視しているかを表している。日本でも試しに専門職のオフィスでそれを取り入れてもらったところ、プライバシーが保たれて快適だと評判がよかった。要は思い切って変えればよいのだ。

 これからはコロナ感染対策だけでなく、創造的でプライバシーを尊重した職場環境づくりという視点からも旧来型オフィスの見直しが必要になる。多くの人が在宅勤務で働くことの快適さを経験しただけに、いっそう要求水準も高くなるに違いない。コロナ禍を機に日本のオフィスが生まれ変わることを期待している。

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