国内

岩手県で初のコロナ感染者、「ようやく出た」が県民の本音?

初の新型コロナウイルス感染者確認を発表する達増拓也岩手県知事(写真/時事通信社)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、初の新型コロナウイルス感染者が出た岩手県ついて。

 * * *
「ついに出たか」。7月29日夜、「岩手県で初の感染者確認」というニュース速報を見てそう思った人は多かったのではないだろうか。だが、もし自分が岩手県民だったら「ようやく出たか」が本音かもしれない。自分が感染者第1号にならなかったことに、利己的だが安堵感にも似た感情が胸に湧いたのではないだろうか。

 国内で唯一「感染者ゼロ」を3か月以上維持してきた岩手県だが、ついに初のコロナ感染者が出てしまった。達増拓也岩手県知事と谷藤裕明盛岡市長は、その日のうちに2人並んで会見を開いた。初の感染者となったのは盛岡市の40代男性。22日から26日まで自家用車で関東のキャンプ場に友人3人と滞在した後、このうちの1人の感染が28日に判明し、自身もPCR検査したところ陽性と確認された。軽い咳と喉の違和感があるだけで軽症だという。早速入院の手続きが進められたようだ。

 岩手県はこれまで感染者を出さずによく頑張ってきた。だが、感染者ゼロの日が長くなるほど、県民なら「最初の1人には絶対になりたくない」という気持ちも強まっていく。自分だったら少し咳が出たり微熱があったとしても、「もしかして?」という不安を頭から追いやり、よほど体調が悪くならない限り検査には行くのはためらってしまうだろう。
 
 実際、県内では、人々の心理的プレッシャーが大きくなっていたようだ。ある都内在住の男性は、岩手県へ帰省の相談をしたところ、「もし岩手感染者第1号になったら、ニュースだけでは済まない」という父親とのLINEのやり取りをTwitterに投稿し、話題になった。こう返信した父親の気持ちもよく分かる。

 そうした人々の心理を懸念して、達増知事は5月に「感染者第1号になっても県はその人を責めません」と発信していた。だが、県内では「県外ナンバーの車お断り」という張り紙をした飲食店があったり、ある病院では県外からの妊婦さんの受け入れが問題になったりしており、コロナによる「村八分」状態が生まれ、独特の緊張感が漂っていた。今回初の感染者が判明したことで、SNSや掲示板などでは、早速一部ユーザによる誹謗中傷も見られた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
告示日前、安野貴博氏(左)と峰島侑也氏(右)が新宿駅前で実施した街頭演説(2025年6月写真撮影:小川裕夫)
《たった一言で会場の空気を一変》「チームみらい」の躍進を支えた安野貴博氏の妻 演説会では会場後方から急にマイクを握り「チームみらいの欠点は…」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン