国内

感染した無症状の子供たちが最も危険な存在、直視すべき現実

全国の学校や幼稚園などでクラスターが多発している(写真はイメージ)

 衝撃的な研究結果が明らかになった。6月末、韓国の国家機関とアメリカの大学の研究チームらが、韓国で6000人近い新型コロナウイルスの感染者とその接触者を追跡調査した結果、「10代の若者」が最も家庭内で新型コロナを広めやすいと発表した。10代の若者が家庭内で最初に発症した場合、家族にうつす確率は18.6%とほかの世代よりも高かった(全世代の平均確率は11.8%)。

 これまで日本では「子供は新型コロナに感染しにくく、感染しても重症化はしない」といわれてきた。実際、日本小児科学会は5月20日、「学校や保育所におけるクラスターはないか、あるとしても極めて稀と考えられる」とし、さらに「学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい」などと発表していた。

 ところが最近は全国の学校や幼稚園などでのクラスターが多発。7月18日に大阪・大東市の中学校で生徒6人と教員2人の感染が発覚し、22日までに岐阜市の県立高校で教員や生徒ら計9人の陽性が確認された。8日には東京・世田谷区の私立幼稚園で園児4人、職員3人の感染がわかっている。

「6月まではそもそもPCR検査の数が少なすぎたので“子供たちは感染しない”とされましたが、検査すればするほど陽性が増えていく。たまたま無症状や軽症なだけで、感染しないわけではないことがはっきりしつつあります。

 学校や幼稚園では、大人の教員や職員が一緒に感染しているケースが多いことを考えると、知らず知らずのうちに大人にうつしている危険性も高いと考えられます」(医療ジャーナリスト)

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんは、学校でウイルスが蔓延する理由をこう説明する。

「子供同士にソーシャルディスタンスの徹底は容易ではなく、距離感が近いことが一因です。マスクをうっかり外す、手洗いやうがいを忘れるなども多いでしょう。

 そもそも無症状や軽症が多いので、感染者の隔離が困難です。“子供はコロナをわかっていない、重症化もしない”ことを前提に、地域で陽性者が出た際には症状がなくても徹底して検査を受けさせるべきです」

 冒頭の韓国の研究が示した通り、感染した子供たちは“クラスターを発生させる最も危険な存在”といえる。昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんが警鐘を鳴らす。

「懸念されるのは、学校で感染してきた子供から重症化リスクの高い親や祖父母にうつすことです。子供に感染対策を徹底させるのは難しいうえ、同居家族はどうしても“密”な関係は避けられない」

 春の休校期間の遅れを取り戻すため、どの学校でも夏休みが短い。感染者数が増加の一途を辿るいま、はたしてそれでいいのか。「不都合な真実」と目をつぶらずに、子供が感染拡大を招く現実を直視すべきだ。

※女性セブン2020年8月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン