昼食などとともに、昼カラオケを提供する喫茶店(時事通信フォト)
とにかく客の滞在時間が長いのが「昼カラ店」の特徴なようで、その分、客同士の接触機会も増えるというわけだ。また、客のほとどんどが常連のため、濃厚接触をなんども繰り返しているから、誰か一人が感染すれば、いつクラスターが発生してもおかしくない。この「濃厚さ」について、関西地方で発生した「昼カラ店」を取材した、情報番組ディレクターがこっそり打ち明ける。
「濃厚接触どころじゃありません。客同士で手を握り合い、抱き合ってデュエットをやったり、軽食を同じ箸やスプーンで食べたり…。客は男女共高齢者で、妻や夫に先立たれた人もいれば、80才を過ぎて不倫相手を探しにくる元気すぎる客まで…。カラオケ店というよりは、過激なキャバクラ店のようでした(笑)」(情報番組ディレクター)
「濃厚接触」ときくと、報じられた最初の頃は、どんな密接な付き合い方だろうと受け取る人も少なくなかったが、最近では、酒を伴う会食、マスクをつけずに大声で語り合う、ということが該当する行動だと知られるようになった。だが、高齢者の利用が多いことからほのぼのとした交流の場かと思われていた昼カラ店では、こちらが想像する以上の「濃厚接触」が繰り広げられていたというのだ。関東でも、近隣「昼カラ店」数店から、十数名以上の感染者が出ているというが…。
「何人かのお客さんは、複数のお店をはしごするため、やはりそこから感染が始まっているのではないかと言われています。感染者が出た店は当然休んでいますが、隣の自治体の昼カラ店に遠征したり、カラオケ機材を仲間の自宅に持ち寄って『ヤミ昼カラ』する高齢者もいたりして…」(情報番組ディレクター)
彼らにマイクを向けると「死よりカラオケができないほうが辛い」と漏らすというから、高齢者のパワーには感心するやら呆れるやら。いや、時勢を考えれば呆れるほかないのだが、これこそが超高齢社会で、健康寿命も世界2位という我が国の取り繕わない姿なのだ。若者がウイルスをばらまいている、とよく言われるが、予想以上の行動力で活発に動き回るのに年齢は関係ないらしい。