紅白司会の大役も務めた(写真/ロケットパンチ)

 後輩で印象的だったのが久保純子さん。彼女を面接した時も、たしかな“風”を感じました。他の採用官が「鼻濁音ができていない」などと難色を示すなか、私は彼女の中に柔らかな強さを感じた。鼻濁音は勉強すればよい。でも彼女の存在感は、キャリア色の強い女性が多かったNHKの女性アナの中で違う光を放ち、新しい何かが作れるのではないかと思いました。

 実はNHKを退局の時、選挙関連のお声もかかりましたが、政治も放送も命懸けです。同じ命なら放送に懸けたかったので、「生涯一アナウンサー」を貫くことを決めました。また、当時任された男女共同参画センターの仕事も続けています。

 アナウンサーの仕事は様々ですが、司会も柱の一つです。今はタレントさん、特に芸人さんが多いですね。芸人さんは力があるし、楽しい話を聴きたくなるのも分かります。でも今後は肩を並べて、違う味でピリッとした存在感を持つアナウンサーの登場に期待したいです。

【プロフィール】
◆かがみ・さちこ/1940年生まれ、東京都出身。1963年にNHK入局後、『NHKニュース』キャスター、大河ドラマ『峠の群像』『風林火山』のナレーションなど幅広く活躍。1997年には女性初の理事待遇エグゼクティブアナウンサーに就任、2000年に定年退職後も精力的に活動中。

取材・文■河合桃子

※週刊ポスト2020年8月14・21日号

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