ライフ

欧州発、コロナ感染でビタミンDが死亡率下げるとの研究

ビタミンDはきのこ類に多く含まれる(写真/アフロ)

 新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を振るっている。ワクチン開発をはじめとし、様々な研究がなされているが、その中では死亡率を下げるものも研究が重ねられている。

 5月に発表されたのはビタミンDに注目した研究だ。

《新型コロナウイルス感染症の感染と死亡を防ぐビタミンDについて》

 イギリスの研究者らがヨーロッパ20か国を調査したところ、ビタミンDの血中濃度が低い国ほど、新型コロナの感染率、死亡率がともに高いことが明らかにされた。第一波の被害が大きかったスペインやイタリア、スイスの高齢者は、血中のビタミンD濃度が低い傾向にあったという。

 ビタミンDは、日本人の約8割で不足しているとされる。効率的に摂取するうえで欠かせないのが日光浴だ。

「肌に紫外線を当てると皮下にあるコレステロールに化学反応が起こり、体内でビタミンDが作られます。1日に15~20分程度、外でウオーキングをしてほしい。手のひらをかざすだけでも効果はあります。日焼け止めは塗らずに素肌をさらすのがいちばんいい」(井尻整形外科院長の井尻慎一郎さん)

 ビタミンDは食べ物からも摂取できる。

「さば、さんま、まぐろ、鮭などの魚に含まれるほか、しいたけ、きくらげなどきのこ類にも豊富に含まれます。きのこ類は、カサの裏側を数十分ほど日光に当てるだけで、ビタミンDが増えます」(クリニックばんびぃに院長で小児科医の時田章史さん)

 ほかにも、亜鉛に注目した研究がある。

《高齢者免疫における亜鉛の重要性 新型コロナ危機に対するひとつの可能性あるアプローチ》

 ブラジル連邦大学栄養学科の研究者が4月に発表した研究によると、亜鉛には抗炎症作用があるため、免疫機能を最適化し、感染リスクを低下させる可能性があるという。「虎の門中村康宏クリニック」院長の中村康宏さんはこう言う。

「亜鉛はミネラルの1つで、過剰な免疫反応を抑えて正常化させる働きがあります」(中村さん)

 免疫力を上げるためには亜鉛を摂取するべきだと管理栄養士の麻生れいみさんも言う。

「たんぱく質と亜鉛は、免疫細胞の原料となり免疫を活性化させます。感染症対策において重要な成分です」

 ただし、亜鉛は口から摂取したわずか30%しか小腸で吸収されないうえ、加齢とともに吸収率が下がるという。

「特に高齢者は亜鉛が不足しやすいので、意識的に摂取するようにしてください。いちばん豊富に含まれているのは牡蠣です。ほかに、たらばがにや干しえびなどの甲殻類、帆立貝、赤身の肉、レバー、プロセスチーズ、大豆製品、ごまに多く含まれています。クエン酸やビタミンCと摂取すると吸収率が上がるので、レモンをかけて食べるのがいいでしょう」(麻生さん)

 ただでも体力が落ちる暑い夏、賢く食べて新型コロナに対抗しよう。

※女性セブン2020年8月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン