狭いデスクスペースに背もたれのないイスも
筆者はホテル評論家としてフリーランスで日々執筆作業をするのが仕事であるが、テレワーク、コロナ禍に関係なく、以前からホテルの客室でデスクワークをするのが日常だ。ゆえに、客室のデスクワーク環境は個人的にかなり気遣ってきたテーマであり、当然お気に入りのホテルや客室もある。
今般、コロナ禍に対応した様々なホテルのテレワークプランを改めて吟味してみたところ、「このホテルで集中したデスクワークが可能なのか?」と疑問を持たざるを得ないホテルもあった。
テレワークといってもその形態は人それぞれであろうが、ホテルの客室でのマストアイテムはデスク&チェア、そして高速回線だろう。もちろん、ラグジュアリーやデラックスと称されるホテルでは、すべて整っていて満足度も高いが、高額な料金をみると現実的ではない。一般的なテレワーク向けといえば、エコノミーなビジネスホテル、ミドルクラスのホテルあたりまでが対象となるだろうか。
ところが、そうしたホテルの中で直近に出向いたホテルでも、時間帯によってネットが繋がりにくいケースや、ノートパソコンで占領されるような申し訳程度のデスクスペース、簡易的で背もたれのないスツールしかないホテルもあった。
そもそもソファセットはあるものの、デスクワークの想定されていないホテル(都市型・リゾートに限らずファミリー向けタイプに多い)までも「充実のテレワークプラン!」と大々的に謳っているケースを散見する。背に腹は代えられないホテルの努力も理解できるが、お金を支払う利用者としては有意義なワークタイムを過ごせなければ利用する価値はない。
テレワークに適したホテルの条件としては、ある程度の広さがあるデスクは必須であろう(天板の材質も気になるところだ)。また、長時間座っていても疲労の少ないチェアはなかなかハードルが高いが、ホテル・客室によっては気遣いのみられるケースもある。知られたチェーンとしては「リッチモンドホテル」などがこのあたりの評判は高い。
さらにネット完備はいまやホテルの必須条件である。とはいえ、ネットが繋がればいいというものでもなく、オンライン会議等も考慮すると一定の速度確保が必要であろう。オフィスや自宅のつもりでホテル客室にてオンライン会議をして、回線がプツリプツリ途切れ面を食らったという話も聞く。
このようなデスクの広さやチェアのクオリティ、ネット回線に加え、実際にテレワークステイをしてみると食事(特にテイクアウト)環境、眺望や空調、コピーや機やプリンターなどの付帯設備といった点も人によってはポイントになるかもしれない。