国際情報

【アメリカ発】「完全に安全な学校」なんてどこにあるの?

学校に行かないことの弊害も考えるべきだ(AFP=時事)

 完全を求める人は、少しでも欠陥があるものを拒絶する。でもそれは、とても窮屈な生き方になる。コロナ問題は命に関わるものだから、当然細心の注意と警戒が必要だ。とはいえ、リスクをゼロにすることはできない。早くからコロナ問題をテーマに取材してきたジャーナリストPete McArdle氏は、「絶対安全」を求める風潮を皮肉たっぷりに批判する。

 * * *
 コロナパニックを正常に戻すには、まず子供たちを学校に戻らせる必要がある。親たちもそれを必要としている。しかし、教員組合と民主党の指導者たちは、そうは考えない。彼らは子供の安全が第一だと言いながら、カメラ目線を意識している。そして子供たちは苦しみ続けることになる。

 残念ながら、絶対安全というものはない。子供たちはどうやって学校へ行くのか。徒歩も一つの方法だが、行方不明の子供たちの記事を読むと、「学校に歩いて行くのを見たのが最後だった」という親の悲痛な言葉が飛び込んでくる。交通警備員がいるにもかかわらず、通りを横断するだけで、一定数の子供はケガをしたり、命を落としたりしている。自転車に乗れば誘拐のリスクは減るかもしれないが、クルマに衝突されるリスクは同じだし、転倒した時のケガのリスクは高まるだろう。

 バスに乗って行くのはずっと安全な選択に思えるが、飲酒運転や薬物中毒のスクールバス運転手の恐ろしい記事を読んだことがない人はいないだろう。スクールバスに子供が轢かれてしまう事故もあれば、バスの中で眠ってしまった子供が暗い駐車場で目を覚ますという事件も起きている。親がクルマで送っていくのが一番安全かもしれない。その親が酔っぱらっていたり、ジャンキーだったりせず、優れた運転歴を誇っていると仮定すれば、だが。そして、それでも多くのクレイジーなドライバーによって道路の外に跳ね飛ばされることは心配しておくべきだろう。

 小さなジョニーにとって、学校に行く最初の危険は、仲間の子供たちだ。彼らは小さな野蛮人である。神のご加護に期待しながら、子供たちはそこでゆっくりと文明的な振る舞い方を学んでいる。が、皆がそうなるまでは、ジョニーは仲間からからかわれたり、いたずらされたり、いじめられたりするだろう。ジョニーの体格や態度によっては、ランチ代を強奪されたり、暴行や性的虐待を受けたりすることもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

長所は「どこでも寝られるところ」だと分析された(4月、東京・八王子市。時事通信フォト)
愛子さま、歓迎会の翌日の朝に遅刻し「起きられませんでした」と謝罪 “時間管理”は雅子さまと共通の課題
NEWSポストセブン
ウーバーイーツ配達員として再出発した水原一平被告(時事通信)
《水原一平がウーバー配達員に》再出発は「時給20ドル」から ハリウッド俳優も利用していた“抜け穴”の仕組み
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【悲劇の発端】瑠奈被告(30)は「女だと思ってたらおじさんだった」と怒り…母は被害者と会わないよう「組長の娘」という架空シナリオ作成 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子
《愛人との半同棲先で修羅場》それでも三田寛子が中村芝翫から離れない理由「夫婦をつなぎとめる一通の手紙」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告
【父親とSMプレイの練習していた】瑠奈被告(30)の「女王様になりたい」に従った従順な両親の罪
NEWSポストセブン
松岡茉優と有岡大貴
【8年交際の全貌】Hey!Say!JUMP有岡大貴と松岡茉優が結婚「この春、引っ越した超こだわりの新居」
NEWSポストセブン
藤井聡太八冠、満員電車で予期せぬハプニング 隣に座った女性が頭をカックンカックン…冷静な対応で見せた“強メンタル”
藤井聡太八冠、満員電車で予期せぬハプニング 隣に座った女性が頭をカックンカックン…冷静な対応で見せた“強メンタル”
女性セブン
佳子さま
【不適切なクレームが増加?】佳子さまがギリシャ訪問中に着用のプチプライス“ロイヤルブルーのニット”が完売 それでもブランドが喜べない理由
女性セブン
田村瑠奈被告
【戦慄の寝室】瑠奈被告(30)は「目玉入りのガラス瓶、見て!」と母の寝床近くに置き…「頭部からくり抜かれた眼球」浩子被告は耐えられず ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子(インスタグラムより)
《三田寛子が中村芝翫の愛人との“半同棲先”に突入》「もっとしっかりしなさいよ!」修羅場に響いた妻の怒声、4度目不倫に“仏の顔も3度まで”
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
【独占スクープ】中村七之助が京都のナンバーワン芸妓と熱愛、家族公認の仲 本人は「芸達者ですし、真面目なかた」と認める
女性セブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【絶望の浴室】瑠奈被告(30)が「おじさんの頭持って帰ってきた」…頭部を見た母は「この世の地獄がここにある」 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン