そんな緻密に作り込んだネタが持ち味のサンドウィッチマンだが、『ただ今、コント中。』に寄せたコメントでは「アドリブも満載ですので、楽しみにしていただければ!」とも語っている。彼らの“アドリブ力”にはどのような魅力があるのだろうか? お笑い評論家のラリー遠田氏は次のように指摘する。
「サンドウィッチマンはもともとネタの面白さに定評があるコンビです。本人たちも人一倍ネタにはこだわりを持っています。ネタというのは観客の前で演じるものなので、その場の空気によって細かい間合いや内容が変わるということは珍しくありません。その意味ではアドリブというのもネタの一部であると言えます」(ラリー遠田氏)
「村に住む男」や「小麦が香る男」など、 伊達がボケを担当する“男シリーズ”と呼ばれるネタは、台本がなくほとんどアドリブで構成されていることがファンの間では知られている。単独ライブでは通常10分で終わるところ、1時間近く続いてしまったこともあるそうだ。特徴的でユニークなキャラクターや設定の面白さもさることながら、まさにアドリブを丸ごとネタにしてしまったコント漫才だと言うこともできる。ラリー遠田氏は続ける。
「サンドウィッチマンの2人がネタの中であえてアドリブを入れるときには、一緒に演じている相方を笑わせようとしていることが多いと思います。特に伊達さんがそれを好んでいる印象があります。単独ライブでも、伊達さんがボケ役としてアドリブでボケを連発するネタをしばしば演じています。伊達さんのアドリブに思わず笑ってしまう富澤さんの姿を見て、観客も温かい気持ちになり、一緒に笑ってしまうことになるのです」(ラリー遠田氏)
作り込まれたコントも面白いが、アドリブがもたらす予期せぬハプニングは想像の“斜め上”をいく笑いを引き起こすことがある。そうしたやり取りからコンビ間の仲の良さが垣間見えるところに、サンドウィッチマンの好感度の高さの秘訣もあるのかもしれない。フジテレビが社運をかけて挑んでいるという『ただ今、コント中。』でも、彼らの“アドリブ力”が見どころの一つになりそうだ。
●取材・文/細田成嗣(HEW)