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日記がじんわりブーム 習慣化で「情報に流されなくなる」

その時感じた気持ちを素直に記すことが大切(写真はイメージ)

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が出された今年4月、人々はどんな生活を送っていたのだろうか――。多様な職業の77人が、4月に生活を日記形式で綴った書籍『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』(左右社)が話題となっている。すでに30近いメディアに取り上げられ、じんわり日記ブームが広がっているというのだ。

 SNSに日々の出来事を気軽に投稿するこの時代、わざわざ日記を書くということは、そう簡単なことではない。しかし、実際に日記を書いてみないと分からない魅力も多いのだ。

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 コロナをきっかけにウェブサイト『あさひてらす』で『家ごもりヘロヘロ日記』を連載するようになった編集者でエッセイストの末井昭さんは、日記を書くことで現実の生き方が変わった。

「4月に緊急事態宣言が出ると人と会うことも減り、組んでいるバンドのライブも中止になってしまった。家にこもっているとテレビばかり見て、何もする気が起きなくなってくる。

 これはまずいな、なんとかしなきゃ…と思っているときに、日記を書く仕事の依頼がきて、日記なら毎日頭を使うからいいだろうと思い、書き始めました。すると一日の過ごし方も変わってくるんです。ボーっとテレビを見ているだけでは、何も書けないから、本を読んだり、たまに映画を見たりするようになりました。何か見たり聞いたりしても、日記に書かないといけないので、前より考えるようになりました」(末井さん)

 どんよりとした日常は、日記を書くことによって色彩豊かになった。

 6月14日には、ホラー映画『ミッドサマー』を鑑賞に出かけた末井さん。この日は、72才の誕生日だった。

「映画の冒頭で、72才以上の人は崖から飛び降りて死ななければならないという、スウェーデン奥地の古代宗教を信仰する村の伝統的な儀式の様子が描かれていたんです。

 ぼくはちょうどその日が72才の誕生日だったから、『あれ?』と思って帰宅後すぐ日記に『その村にいたとしたら自分は今日飛び降りないといけない』と書きました。そういう偶然が面白いですね。それも日記を書いていたから気づいたことで、日記を書いていなかったら、ただ面白い映画を見たというだけで終わったと思います」(末井さん)

 コロナ禍において、猛烈なスピードで過ぎ去る日常や、膨大な情報量に圧倒されていた末井さんは、日記を書くことで、流されずその場に立ち止まるようになった。

「重症者や感染者の人数がニュースで流れてきても、そのときは、大変なことになったと思うだけで翌日になると忘れて、自分の中には何も残りません。だけど日記を書くことが習慣化していくうちに、情報に流されないで、気になったことは深く掘り下げて考えたくなりました。

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