長野新幹線開業に伴い、廃止された横川-軽井沢間の信越線。碓氷峠を上る特急「あさま」号(時事通信フォト)

長野新幹線開業に伴い、廃止された横川-軽井沢間の信越線。碓氷峠を上る特急「あさま」号(時事通信フォト)

 展示されている189系は特急「あさま」として走り、引退後に碓氷峠鉄道文化むらに引き取られた。藤井新棋聖が乗りたかったと熱望した「おはようライナー」と同じ189系。車両の形状も同じで、車体のカラーリングも同じ。つまり、藤井二冠が乗り逃した列車と同じ車両が保存・展示されている。

 同施設には、189系のほかにも鉄道史を彩ってきた貴重な車両が多く展示されている。それにも関わらず、予算面や人手不足もあって最近は展示車両のメンテナンスに手が回っていなかった。

 189系も長らく放置されたままになっており、車体の塗色は剥げ落ち、一目で老朽化しているとわかる状態だった。

「10年以上前から、色を塗り直したいという希望がスタッフ間で出ていました。しかし、車体の色を塗り直すだけでも1000万円近い費用がかかります。そうした多額の費用を捻出することが難しく、ゆえに放置されたままになっていたのです。ところが、鉄道愛好家から多額の寄付があり、それで資金を工面できたのです」(同)

 こうして、碓氷鉄道文化むらに保存展示されていた189系は、綺麗にお色直しされる。そして、7月12日にファンの前でお披露目された。

「7月12日にお披露目会をしたわけですが、9月13日に改めて正式なお披露目を実施する予定にしています。藤井二冠が乗りたいと希望していた『おはようライナー』に使用された189系車両は、長野総合車両センターに眠ったままです。中に立ち入ることはできません。しかし、ここに展示されている189系は車内に入ることができますし、運転席に座ることも可能です。多忙な藤井二冠ですからスケジュールの都合もあると思いますが、9月13日のお披露目に招待したいと考えています」(同)

 本来なら、189系に興味を示すのは鉄道ファンぐらいしかいない。しかし、今をときめく藤井聡太二冠が「乗りたい」と口にしたことで、189系を保存・展示する碓氷鉄道文化むらがにわかに注目の存在になっている。引退した車両がブームを起こすという、不思議な現象が起きるかもしれない。

群馬・松井田町のJR横川駅で大勢の鉄道ファンに囲まれ、花束を受けるJR信越線の特急「あさま」最終列車の運転士ら(時事通信フォト)

群馬・松井田町のJR横川駅で大勢の鉄道ファンに囲まれ、花束を受けるJR信越線の特急「あさま」最終列車の運転士ら(時事通信フォト)

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン