1997年9月30日、特急「あさま」最終列車の出発式(時事通信フォト)

1997年9月30日、特急「あさま」最終列車の出発式(時事通信フォト)

 1970年代に製造された189系は、「おはようライナー」以前にさまざまな列車として活躍してきた。特に「あさま」や「あずさ」などの特急列車として長野県を中心に走っていたこともあり、長野県民にとって愛着は強い。

 それだけに、引退後は長野県内の博物館や公園などで引き取る話が浮上しても不自然ではない。しかし、長野県内には鉄道車両を保存・展示する大規模な博物館が存在しない。

「『189系を長野県で引き取り、保存することはないのか?』といった問い合わせはありましたが、特に県民から強く要望されている話ではありません。引退後した後も189系をJR東日本が保管しているところまで、県では把握しています。しかし、それを県で引き取るという話は出ておらず、交渉もしていません。今般、コロナ対応で各所に予算を割かなければなりません。そのため、税金を支出してまで189系を保存することに理解を得られるとは考えにくいです」と話すのは、長野県企画振興部交通政策課の担当者だ。

 長野県が189系を保存・展示する気配は今のところないようだ。

 一方、長野県と接する群馬県安中市の碓氷峠鉄道文化むらには、多くの引退車両が保存展示されている。そこには、189系もある。

「碓氷峠鉄道文化むらには、特急列車『あさま』として活躍した189系が2両展示されています。189系は長野県と縁の深い車両ですが、群馬県でも人気の高い車両です」と話すのは、碓氷峠鉄道文化むらの大塚弘通館長だ。

 同施設には、2両の189系が保存展示されている。ひとつは、赤とベージュの車両。これは国鉄色と呼ばれるカラーリングで、往年の鉄道ファンは懐かしさを感じるだろう。

 そして、もうひとつがグレーとアイビーグリーンの車両。一般的にはモスグリーンと表現される深緑色は、厳密にはアイビーグリーンと呼ばれる。このグレーとアイビーグリーンのカラーリングは、JR色と認識されている。JR色の189系は、碓氷峠の最終列車として運行された記念すべき車両でもある。

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