わが子をかわいがる気持ちは理解できるが、それが行きすぎて親バカになってしまうのはなぜか。精神科医の片田珠美さんはこう解説する。
「他人に不快感を与えてしまうレベルの親バカは、3つの要因が重なっていることが多い。まずは子供に対しての『過大評価』。アイドルになれるくらいかわいい、医師になれるくらい賢い、などかわいさゆえ、子供への評価が歪んでいる状態です。
2つ目は『自己愛の投影』です。自分ができなかったことを無意識に子供を通して叶えようとする。これは子供のためではなく、傷ついた自己愛を修復するためといえます。この子はいい大学に入れるはず、などと自分の願望を投影して子供に過剰に期待する親は、攻撃的になりがちです。
3つ目は、『幻想的願望充足』というもの。“わが子が天才だったらいいのに”といった願望を持ち続けるうち、現実と区別がつかなくなり、そう思い込んでしまうのです」
さらに親バカが続くと、子離れができなくなり、周囲をドン引きさせてしまうことも。片田さんが見てきた中にも、衝撃の母子がいたという。
「大学生の男の子とその母親が相談に来たことがあります。なんでも、その男の子が初めてできた彼女と旅行に行った際に、性行為ができなかったと言うのです。『EDかもしれない』と心配した母親と息子で病院にいらっしゃったというわけです。結局、初めてで緊張していただけでしたが、大人になった息子の下半身事情にまで母親が関与するのは、行きすぎですよね。
親バカを直したいなら、まず自覚をすること。自分のしていることは独りよがりなんじゃないか、と疑ってみるのが第一歩です」(前出・片田さん)
自分は周囲から親バカだと思われていないか、冷静に見つめ直したい。
※女性セブン2020年9月17日号