鹿児島大学の研究室で唾液PCR検査キットを開発中の隅田教授

 唾液を用いた検査法にも様々なやり方があるが、鹿児島大学の隅田泰生教授のチームが開発した唾液による「糖鎖ナノ粒子法」は画期的だ。ごく微細なものを扱うナノテクノロジーを使い、従来の方法だと結果が出るまでに最大6時間かかる検査時間を20〜30分に短縮した。0.3ccの唾液で検査でき、精度も高い。6月に保険適用となっている検査法だ。

 隅田教授が語る。

「唾液による検査は簡単で患者に優しく、医療従事者にとってもリスクが低い。唾液中の新型コロナはウイルス量が少ないので偽陰性になる可能性もありますが、この方法は濃縮の過程があるので、朝起き抜けの唾液を用いれば、鼻咽頭スワブと同等の結果が得られました。また、粒子形を保った感染性のある生きたウイルスのみを検査するので、偽陽性判定も避けることができます」

新型コロナとインフルエンザを同時診断

 それでも、医療機関の中には二の足を踏むところが少なくないようだ。隅田教授によると、ある病院の病院長は「私は導入すべきだと考えているが、やはり感染リスクが高いという理由で検査現場の賛同が得にくい」と内部事情を説明したという。

 秋以降、新型コロナとインフルエンザの同時流行が危惧されている。そこで政府は新型コロナの検査能力を、抗原検査の簡易キットを大幅に導入するなどして1日20万件程度まで引き上げる方針を示したが、抗原検査の簡易キットはPCR検査より精度が低いことが課題とされている。

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン