「働き方改革II」で賃下げ

経団連・中西宏明会長(時事通信フォト)

「地方の銀行は多すぎる」――菅首相が「携帯料金値下げ」と並んで具体的に掲げたのが地銀再編だ。

 だが、政府はコロナ禍で経営悪化に苦しむ中小零細企業や自営業者の資金繰りを支援するため実質無利子・無担保の融資を行なっており、その窓口が地方の銀行になっている。

「いま地銀を淘汰すれば、銀行側は自分が生き残るために不良債権減らしの貸し剥がしに走らなければならない。そうなると緊急融資で生き延びている中小零細企業の大量倒産を招く」(森永氏)

 なぜ、菅首相はこの時期に地銀“取り潰し”を訴えはじめたのか。

 それも経団連の方針に沿った政策だ。中西宏明・経団連会長は9月7日の記者会見で、次期政権への要望として「財政健全化」を挙げ、税金で中小零細企業を支援する政策にこう注文をつけた。

「ゾンビ企業を助けるようなことになっては、日本経済の根幹が揺らいでしまう」

 菅首相は「コロナ対策に全力をあげる」と言いながら、裏では財界と同じで“経営難の中小零細企業は潰したほうがいい”という考えなのだ。

※週刊ポスト2020年10月2日号

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