安倍前首相が訪れた病院の前にはマスコミが殺到した(写真/共同通信社)
官邸の関係者が説明してくれた。
「ただ8月17日と24日に慶応病院に行ったあとは、『あれ(治療)はきつかった』と総理が話していた。だから何らかの治療をしていたのは間違いない。たぶん投与されたのはレミケードじゃないでしょうか」
自己免疫の暴走を防ぐレミケードはリウマチや膠原病などにも投与される。血液検査を受けたあと、体重に応じて最低でも2時間以上、点滴をおこなう。点滴後、頭痛や発熱、眠気などの副作用を伴うケースもある。安倍首相の場合、慶大病院の治療に1回あたり4~7時間かかっているが、休憩や問診などを含めると、レミケードの治療時間はそのくらいになる。
「出元は安倍側近」説
潰瘍性大腸炎では、よく使われる新薬でもある。首相が折に触れ、普段から使っていた可能性もある。だが、GCAPを使っていたかどうか、については疑わしい。先の官邸関係者の見方はこうだ。
「文春や新潮の報道を受けた総理は、『さすがにGCAPはやっていない』と否定していました。あれはコロナ治療の切り札のECMOのように、一度体外に血液を取り出して体内に戻す。最終手段に近い。8月の初め頃、総理はたしかに辛そうで、壁に手を突いて歩いていましたけど、GCAPまではやっていないと思う。最近の復活ぶりを見ていると、レミケードが辛かったんじゃないかな」
吐血情報からGCAPにいたるまで、ことさら深刻な病状が出回ってきた。それにつけても、なぜレミケードだ、GCAPだ、という具体的な治療方法まで漏れるのだろうか。そこについては、ある政治部記者がこう打ち明けてくれた。
「病状の出元は政務秘書官の今井(尚哉)さんだと聞いています。総理につきっきりの今井さんは最大の相談相手。今井情報を元に記者たちは慶大病院に付いていき、絵(写真や映像)までばっちり撮れる。つまり今井さんは病気による退陣のシナリオを印象付ける役割を担ったのではないでしょうか」