国内

自衛隊が「中国製カメラ」調達をこっそり取り消していた

中国に情報が筒抜けになったら自衛官が危険に晒される可能性も(時事通信フォト)

中国に情報が筒抜けになったら自衛官が危険に晒される可能性も(時事通信フォト)

〈サーモグラフィーカメラの入札公告を取り消します 防衛装備庁調達事業課〉──9月9日、官報に掲載されたこの一文に、「やっぱり……」と呟いたのはある防衛省関係者だ。

 このサーモカメラは自衛隊が定期的に行なう「装備品調達」で入札が予定されていた品目。装備品調達は、隊員らが必要とする装備品について官報に入札予告が掲載され、納入業者が応募して落札する仕組みになっているが、このカメラにはある問題が指摘されていた。

「顔を認証して体温を測るタブレット型のもので、各補給処に出入りする自衛隊員の体温を計測するために使われる予定でした。しかし、このカメラのメーカーは、アメリカが『中国への情報漏えいの恐れがある』として使用を禁じた中国企業だったんです。実際、カメラはデータの蓄積もでき、通信機能もついているため、隊員の個人情報が流出する可能性があった」(防衛省関係者)

 この問題は『週刊ポスト』(8月24日発売号)が報じており、防衛省は同誌の取材に対し、「日本の法令に基づいているので問題ない。セキュリティーも対応している」(防衛装備庁調達企画課)と回答していた。

 その2週間あまり後、官報でしれっと調達の取消を発表──やはり自衛隊側も情報漏洩リスクを把握していたということなのか。自衛隊に装備品を納入しているある業者が明かす。

「記事が出たあと、調達担当部署はだいぶ慌てていたようで、件のカメラの調達は『取消になる』と連絡が回ってきました」

 防衛省に取消の理由について聞くと、こう答えた。

「コロナの感染者も増えており、数量や機能性能を改めて精査する必要があるため、入札を取り消すことにした」(防衛装備庁調達企画課)

 隊員が危険に晒されることなく任務に向かえることを祈るばかりだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン