芸能

女優・秋吉久美子にとって「脱ぐこと」に覚悟は必要なかった

女優・秋吉久美子が肌を晒した経緯

 1972年のデビュー以来の出演作について語り尽くした女優・秋吉久美子の研究本『秋吉久美子 調書』(秋吉久美子、樋口尚文/著 筑摩書房刊)が発売中だ。その著者である映画評論家・映画監督の樋口尚文氏が、1970年代に日本の青春映画を大きく変えた秋吉久美子について綴る。

 * * *
 1970年代に青春を過ごした人びとにとって、女優とヌードは切り離せない関係にあることだろう。

 たとえばデビュー間もない秋吉久美子は、日活という映画会社でたて続けに3本の主演作を放ち、その鮮やかな演技が圧倒的な評価を集めて女優としての確かな一歩を踏み出した。1974年公開の『赤ちょうちん』『妹』『バージンブルース』という藤田敏八監督による〈クミコ三部作〉は封切の後も名画座の人気番組となって上映が続き、大学生や若いサラリーマンを中心とするファンによって熱烈に支持された。

 この季節にあって、秋吉のロリータっぽい風貌とグラマラスな肢体のアンバランスさが醸す色香は、繊細で危うい演技の持ち味と掛け合わさって、得難い不安定さの魅力をつくっていた。秋吉の裸像は、ただの客寄せのサービス材料にとどまることなく、明らかに秋吉久美子という新時代の女優の表現力を増幅させる飛び道具だった。

 秋吉は日活の専属女優ではなかったが、これらのヌードを披露した主演作のヒットで日活を潤わせ、活気づけた。だが、このひと昔前、1960年代までの日活にあって専属女優であった吉永小百合、芦川いづみ、浅丘ルリ子、松原智恵子、和泉雅子らがスクリーンでこんなに堂々と裸像を見せることなど考えられなかった(クミコ三部作のちょうど10年前、1964年に公開された浅丘ルリ子映画出演100本記念作『執炎』では浅丘がつつましいヌードをごく一瞬披露するだけで大騒ぎだった)。

 この時分、スクリーンに挑戦的に裸像をさらすことを厭わなかったのは群小ピンク映画の女優たちだけであって、メジャーの邦画各社のスタア女優が銀幕にバストの尖端やヒップの割れ目をさらすというのは御法度であった。

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」