「若者がニュースに対して持っているハードルを下げられる」
――私はEXITが報道番組のMCを務めるということで、最初は「ニュータイプコロナ、マジパネェヤバさじゃん!」とか「“熱中症”ってパリピがフィーバーしてるって感じ?」みたいなMCをするのかと思っていましたが、お2人とも困っている人が出てきたらそこに寄り添うようなコメントをするし、お仕着せ的なことは言わず、正論をぶっ放す。アベプラの視聴者コメントでも「それを聞いてほしかった!」みたいなことがよく書かれますよね。
兼近:以前、テレビに出ていた時、他の出演者全員が読んでいる漫画の第30巻の話をしていました。なんとなく言っていることは分かるけど、はっきりとは分からなかったんですよ。皆さんぼくよりも年上だったのですが、とにかくとっつきにくい。難しい言葉もバンバン出してくるので、だったらぼくはチャラ男のフィルターで、堅苦しい「ニュース」とやらの最初のハードルを下げてやっか、と決めた。そうすれば、周りの若者がニュースに対して持っている抵抗感を下げられると思いました。
りんたろー。:政治や経済、社会ニュースっておじさんおばさんなど中高年が見るものだと思っていました。ぼくらが楽しみ、取り入れてきたニュースって漫画、音楽、芸能とかだけだったんです。でも、これまで約半年、報道番組に出てみると、おじさんおばさんが見ていたニュースも自分と隣接していることに気付いたんです。実際に触れてみて、オレらに関連しているんだ、と思った。まさに番組でやってきた「コロナ対策」とか「声優志望者から考える“夢を持つこと”」なんてそうですよね。ニュースが自分事化してきたんです。
「ニュースと自分の関係性を知ることにより“大人になった”」
――でも、結局視聴者にとっては「自分事」ではない芸能のスキャンダルが圧倒的にネットのニュースでは読まれるんですよ。ただ、それは重要なニュースか? それがたくさん読まれる中、重要なニュースはどうすれば読まれるか? いや、誰が重要だと決めるのか? そのあたりについてどんな意見をお持ちですか?
兼近:誰と誰が結婚しました、ってニュースは確かに多くの人の関心を呼ぶでしょう。ただ、重要なニュースって自分の生活により関係しているものではないでしょうか。でかいのがコロナです。これにはさすがに若者の関心が高まりました。自分の行動に規制がかかるとか、会社に行けないとかね。ぼくもライブがコロナによって軒並み中止になるなど、すごく生活に影響がありました。かつては、ニュースが自分に密接している、という感覚を抱く経験をしてこなかったから、“これだ!”と思いました。
ぼくは2020年3月、番組が開始する直前の28歳までは子供だったんです。子供って、大人が周囲のことをやってくれるから社会で何が起きていても気にしないんですよね。大人がなんとかしてくれると思うから、自分が何かを行動して変えられることを知らなかった。知らない人にぼくが伝えられるんだ、ぼくが行動することで子供たちが救われたり、進むべき道が変わるのを感じられます。現在29歳、ニュースと自分の関係性を知ることにより、最近大人になったと思いました。これまで番組で取り上げたシングルマザーの問題は、ぼくも関心は高かったです。これについても、ぼくが考え方をいうことで、人の意見を変えられるかもしれません。
――たとえば、養育費を支払わない元夫が多いとかの問題を変えられるかも、といったことでしょうか。なんとか払わせようと母親が動くかもしれないし、父親も改心するかもしれないし、何らかの運動が起きたりとか……。
兼近:たとえばそういうことです。それを感じたのは最近のこと。最初は報道番組にチャラ男が2人いたら視聴するハードルが低くなるし、なんか言ったらバズる、スゲーと思われる、という展開を考えていた。ただ、約半年やって、今は“兼近大樹”として言葉が伝わるようになったと思っています。4月の頃はあくまでもチャラ男がMCをやっているだけでした。