社会問題についても自らの考えを語ったりんたろー。

「大坂選手の時間の使い方はすごく素敵だと思った」

りんたろー。:ぼくらなりに意見を言うこともできるし、それにより考え方を変える人もいると思う。でも、知れば知るほど自分の無力さを知るニュースもあります。現実を突きつけられてもぼくらなりに発信できることがない。発言に意味があってほしいと願っていても、根本的なところで本当に出口がないこともあります。

 たとえば、アメリカの“BLM運動”に伴う黒人の差別問題。ぼくらが思うことは発信できます。届けられるといいな、とは思いますが、それは根深いものだし、簡単に解決できるものではない。以前番組でも取り上げた、いじめの問題とかもそうじゃないですか。ぼくはあの時、「逃げることに勇気を持ってほしい」と言いました。現実的に亡くなっている子供たちもいることをぼくらは突きつけられている。番組で社会問題について発言することとは、問題の根本を解決するために何をしなくてはいけないかを考えさせられることです。

――今、りんたろー。さんが言った黒人の差別問題についてですが、テニスの大坂なおみ選手が抗議の意味を込めて試合をボイコットする、と発言しました。その後は、亡くなった黒人の名前が乗ったマスクをつけて全米オープンの試合に臨みました。あれは彼女ができることを行動で示しました。兼近さんはあの件についてどう思いますか?

兼近:時間とは人間全員に平等に存在するものです。でも使い方って、すごく多種多様で、ぼくは黒人差別についてすごく思うこともあるし、差別なんてものはあってはいけないと考える。だから「よくないことだと思います」、は言う。このように、発信は誰でもできますが、黒人差別に反対する行動はまだしていません。個々の人間は、時間の制約があり、実際に行動に移せないものもある。大坂選手は、黒人差別問題に対して行動を起こした。行動を起こせるものって、それぞれの時間の使い方次第ですが、大坂選手の時間の使い方はすごく素敵だと思いました。ぼくはそれはできていない。でも、ぼくは別の時に、何か別の問題で自分の時間を使いたいです。個々人が特に関心のある分野で、問題解決のために行動を起こせばいいのではないでしょうか。

――アベマの番組プロデューサーがお2人のことをこう言っていました。「りんたろー。さんは、その日の番組テーマについて事前にみっちり調べてくる。そして漫才の時と同じように、自由な兼近さんの良さを引き出すようフリを入れてくる」と。

りんたろー。:ぼくは兼近の良さを引き出しているつもりはまったくなくて……。いや、ぼくは彼に出会って人生観を変えられた。「こんな世界がまだ日本にあるんだ」と思わされた。それを思わされるような生い立ちとか、生活を送った中で、ぼくが感じる世界や考えとかけ離れた角度からの意見が出る。それを一緒にいる時に感じるんですよ。それを視聴者の皆さんにも知ってほしい。そういうニュースがあったら彼はこう感じるだろうな、というその観点の考えを多くの人に知ってもらいたいんですよね。

兼近:ぼくには、物事を色々な方向から考える癖があります。ぼくがこう思っていると、他の人はこう思うだろうな――みたいに、正解がないものをさまざまな観点から言葉に出す。昔からそうだったんです。それに対して「お前は間違えている」とか、「こいつは変なことを言ってる」とか言われてずっと生きてきました。「こいつ変な人だなあ」、と言われたとしても、りんたろー。さんは「別にそれって間違えじゃないよね」と言ってもらっているような気がする。あと、人は発言が変わってもいい。昨日はこう言っていたけど、今日は違う。それは、毎日ぼくが変わっている証拠だし、それが間違ってないことをりんたろー。さんに教えてもらっている日々です。これからもニュースにはそうした姿勢で取り組んでいきたいです。

■取材/文:中川淳一郎 撮影:森滝進

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン