ひとり用のテーブルに出合ったのが転機に
ブレークしてから、キャンプを再開するも、それすら楽しめなかった。
「芸人として売れて、お金が入ってから、またキャンプをするようになったんです。いい道具を一式そろえて、大人数で出かけるんですが、心から楽しめなかった。子供のときは気が合う友達とだけ遊んでいればよかったけれど、大人になるとそうもいかない。キャンプは“食”と“住”を共にするもの。だから、人間関係が濃密になるんです。当然、合う人、合わない人が出てきて、人づきあいの苦手な自分には苦痛でした」
疲れた心を癒すためのキャンプでますます疲れるのでは、本末転倒だ。そんなとき、あるアウトドアショップでキャンプ道具を品定めしていたところ、ひとり用の小さなテーブルが目に留まった。
「蛇腹のような構造で、広げると雑誌くらいの大きさになる。そんな小さいテーブルは大人数では使えない。そのとき、“ひとりで行けばいいじゃないか”と気づいたんです」
幼い頃のキャンプが楽しかったのは、人づきあいに気を回すことなく、好きな火熾しやサバイバル体験に没頭できたから。つまり、そこには自由があったのだ。それが“みんなで一緒のキャンプ”となると、自由はなくなり、円滑な人間関係こそが大切になる。──自由になりたい。それがひとりでキャンプを始める1つのきっかけとなった。
【プロフィール】ひろし/1972年1月23日生まれ。熊本県出身。1995年からお笑い芸人として活動を始め、2004年頃、「ヒロシです。」のネタでブレーク。2015年にYouTubeに「ヒロシちゃんねる」を立ち上げ、ソロキャンプの動画をあげるように。主な著書に『ヒロシのソロキャンプ~自分で見つけるキャンプの流儀~』(学研プラス)など。10月6日からBS-TBSで『ヒロシのぼっちキャンプ Season2』が放送開始。
※女性セブン2020年10月8日号